盛夏の中津川渓谷
ルート:吾妻連峰 中津川渓谷(2010/7/17-19)
メンバー:MK氏
7/17(土)
8:00 秋元湖-14:10 C1
(雷雨のため銚子口を越えて30分ほどで行動終了)
前日深夜、中津川渓谷レストハウスの駐車場に入り、早朝から行動開始。
ここから中津川橋より入渓するのが普通だが、完全遡行を目論見、敢えて秋元湖まで川沿いの道を下る。
秋元湖からは、黒滑八丁と呼ばれる黒光りする花崗岩帯を進む。
途中、水量計測系の付近で、カモシカが優雅に渡渉しているのに出会う。
中津川橋を潜ると、続いては美しい滑と深いエメラルドグリーンの釜の続く白滑八丁の登場。中津川遡行前半のハイライト!
アクアステルスの強力なフリクションで磨かれた側壁を、時には慎重に、時には壁走りの要領で大胆に進む。
水量が多いとやや困難さが付き纏う場所ではあるが、本日は快晴の真夏日。
躊躇することなく釜に飛び込んでは泳ぎ、白滑八丁を心より満喫しながら遡行を楽しむ。
小一時間進むと、沢は東北の豊かな自然を感じさせる樹林帯の中の遡行となり、やがて大きな釜を蓄えた魚止めの滝に到着。ここは左岸から巻いて、しばらく行くと取水口。二泊三日の行程だと、ここで一泊目にするパーティーも多い様だ。
この先から中津川中盤戦となり、深い釜を抱える銚子口を抜けるとゴルジュ帯に突入する。行けるところまで行こうということであったが、14時過ぎに雨が振り出したので遡行終了。
夕方頃には水位も上がり始め、日中遡行した箇所も濁流の中へ。濡れた薪を集めるものの着火に失敗し、ツェルトで寒い夜を過ごす。
7/18(日)
5:35 C1-17:20 ヤケノママC2
(核心の滝群を全て対処し、ヤケノママで行動終了)
放射冷却を恨めしく思いながら、早々に撤収して出発。やや多めの水量の中を、ヘツリを最大限駆使して進んでいく。
まずは手始めに観音滝の巻き。再び沢底に降りた後も、大渓谷を感じさせるゴツめの渓相が続く。途中で立派な権現滝を右に見て、やがて大迫力の神楽滝に至る。
夫婦滝10mは左壁をサクっと登り、続く静滝12mも右壁を突破。この辺でまたしてもカモシカに遭遇する。中津川中盤の快適な遡行を楽しんでいると、遂に核心部の熊落滝が登場。滝の上部は右に直角に曲がっており、聳え立つ側壁との立体感で、中々荘厳な雰囲気。この滝は一見、滝下から右壁を登って行く様に見えるが、そのルートだと上部で行き止まってしまうので、正解は100m程手前から右手のヤブを漕いでの巻き道。
ある程度登った後は、踏み跡不明瞭でルーファイの能力が試されるが、運良くすんなりと適当な懸垂ポイントを発見し、一時間半弱で再び沢底へ。
懸垂支点工作中、累計三度目のカモシカ登場。その後も飽きさせない小滝が続き、赤い沢肌が目立ってきた頃に、遂に中津川渓谷クライマックスの朱滝60mが姿を現す。滝下に近づくと落水に織り成すベールに、小振りな虹のアーチが懸かり、感動のフィナーレを演出してくれている。
この滝は、一般登山者は絶対に見ることができないと思うと、感慨も一塩。朱滝の捲きも結構手前から始まり、急斜面を登ると緩い樹林帯の斜面に到着する。
トポだと閉鎖された登山道に合流する様だったので、頑張って登ってみるものの、合流した登山道はもはや看板でそれと分かるのみで、無駄に高度を上げず早めに左にトラバースした方が正解。
最早道といえるものは存在しないに等しいので、適当にヤブを漕いで沢筋を下り、煙たなびくヤケノママで幕営。本日こそは焚き火を炊いて、優雅な一時を楽しむ。
7/19(月)
7:00 C2-9:35 登山道-グランデコ
のんびりと朝焚火を満喫して出発。途中、本年のものと思われる大崩壊地に遭遇し、巨岩の中を慎重に通過する。源流地帯は陽光差し込む針葉樹で、中々素敵な雰囲気。
地糖の点在する湿原を辿り、名残を惜しむかの様にヤブと戯れると、木道の登山道に到着。三日間掛けての中津川渓谷完全遡行を称えるかの様に、M中さんとガッツリと握手を交わす。
登山道からは西吾妻経由でグランデコ下山。磐梯山付近の温泉は近年の噴火で全滅しているらしいので、安達太良の方面まで足を伸ばし、ゆっくりと三日間の汗を流した。