雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

栗代川~大無間山

ルート:栗代川~大無間山~風不入~接阻峡温泉(2016/7/16-18)
メンバー:MKさん、Minapoさん

7/16(土)
12:10 栗代橋-15:10 取水堰堤

三日間の行程ではあるが、諸所の事情で当日朝に東京発。寸又峡手前の栗代橋で準備をして入渓したのは正午過ぎ。
初日の行動は寝不足に悩まされるのが常ではあるが、今回はメンバー三人中、二人が風邪気味ということで不安が多い。
とは言え序盤はほとんどがゴーロ歩き。時折、深南部らしい豪快な崩壊地を通り過ぎる。壊れた堰堤を過ぎて、取水堰堤に到着したのは15時過ぎ。


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ほとんど行動していないが、これからゴルジュ地帯だし、空模様は怪しいし、メンバーは調子悪そうだしでサクッと行動終了。明日以降の行程が思いやられるが、左岸の林道からエスケープもできるので安全面での心配は少ない。


7/17(日)
5:30 C1-ほおじろ沢出合-11:30 こっぱ沢出合-13:30 倉沢橋-15:00 C2

3時半起床、5時半出発。一発目のゴルジュ帯となる八丁暗見は中々雰囲気がある。泳ぎが必要なポイントもあり、ライジャケが活躍。鶴ノ天は頭上のせり出した巨岩が印象的。釜を泳いで左壁のチムニーを登る。


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ほおじろ沢を過ぎると一ヵ所左岸を残置ロープで登って降りるポイントがある。そこからいよいよ栗代川の核心部。龍言淵らしき滝を左壁から登り、二条2m滝を中間部の岩をショルダーで這い上がる。
核心部の龍神ノ瀬戸は想像していたよりも側壁が高く圧倒的な雰囲気。遡行自体は難しくないが、轟く激流の中、ゴルジュ内の景観を眺めているだけで心が躍る。


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洗濯機の釜の手前は登れない小滝があるので左岸からへつる。この後、反転流うずまく激流を渡渉するのが難しいとのことで、ロープをつけてトライ。発射台に近づくと水流になぐられて一気に押し流され、そのまま釜をぐるぐる流れる感じになる。流されていると楽しくなってくるが、白泡にまみれるのでライジャケがないとちょっと怖いかもしれない。ここは結局、渡渉しなくても発射台をまたいで対岸に渡れた。


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左岸から落ちる見事な直瀑を眺めた後、最後の小滝を泳いで直登するとこっぱ沢出合となり核心部が終了する。ここで長めのランチタイム。中々楽しかったが、体調不良のメンバーは冷えた為か疲労の色が濃い。
ここから倉沢橋まではまた歩き主体。三俣手前の広河原は鹿の楽園になっている様で、十匹ぐらいの鹿に遭遇した。この辺から体調不良メンバーのペースがかなり落ちてきたので、のんびりと進んでいく。
倉沢橋は右岸側が崩壊して斜めに崩落している。こんなところまで開発を推し進めた先人達の凄さと、人工物を容赦なく打ち壊していく自然の力のせめぎ合いの縮図の様でもあり、深南部らしい景色ではある。


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ここから林道で帰る人も多いようだが、今回はこのまま遡行を続けて大無間山を目指す。5m滝を左岸から巻き、その後の二俣を左に折れる。ここから滝場も出てくるが通常の沢登りの範疇で、大きく問題となるようなところはない。三つ目の20m滝を左壁から直登すると地形が落ち着いてきたので行動終了とする。後半ゆっくり進んではいたが、充実の12時間行動。明日の行程も長いので、すぐに夕食を作って就寝。


7/18(月)
4:40 C2-稜線-大無間山-風不入-尾盛駅-15:30 接阻峡温泉

3時起床、4時半出発。早々に水涸れするので水を汲んで、沢型を詰め上げていく。最後は開けた源頭を歩いて、風の吹き抜ける爽やかな稜線へ。振り返ると半年前に登った黒法師山の姿も見える。


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ここから40分ほど稜線を歩いて、大無間山の山頂へ。百名谷から深南部の盟主に登頂という行程は浪漫があって良い。景色はないがスペースが広くて開放的。下山は色々なルートが考えられるが、どれもそれなりに時間がかかり大変。今回は大無間山南嶺を辿って、風不入経由で尾盛駅を目指すこととする。


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一応バリエーションルートではあるが、藪も思ったより薄く、それなりに歩かれている印象。風不入は名前も見た目もカッコいいが、残念ながら山頂は視界なし。途中から体調不良のメンバーの行動力が落ちて本日もゆっくりとした行動。具合悪いのにこんなルートにつき合わせてしまいすみません…。


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最後は尾盛駅に向かって東側の斜面を下ったが、二年前から崩土の為、接阻峡温泉~井川は運行中止となっており、結局接阻峡温泉まで歩く羽目に。尾盛駅から鉄道に乗れないんだったら、もう少し南下して西側に下り、栗代林道経由で下山してもよかったかも。

下山後は時間を優先してタクシーで栗代橋に戻り、寸又峡温泉で汗を流して帰路につく。同じ会の赤石沢パーティも無事に完遂できたとのことで、この三連休は南ア南部で正解だった様だ。

栗代川は歩きが多くやや単調なきらいはあるが、核心部のゴルジュの雰囲気は見事だし、大無間山~風不入の縦走と組み合わせることで深南部の雄大なスケール感を満喫できる山旅となる。苦渋の末の転進先だったが、訪れて良かった。


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梅雨の晴れ間の芦廼瀬川

ルート:芦廼瀬川本流(2016/6/26)
メンバー:Minapoさん、TTさん


川浦谷の翌週は芦廼瀬川へ。梅雨時で紀伊は一週間ほど雨が降り続けており、増水時の充実した遡行が楽しめそうだ。今回のメンバーは沢を始めて間もないTTさんを加えた三名。土曜は雨だったので、日曜で日帰りの計画とした。


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6/26(日)
5:30 七泰ダム—8:50 ヒイラギ谷出合—12:50 核心8m滝上—13:45 トビワタリ谷出合—18:20 車デポ地点


前日の内に行動終了地点に車を一台デポしておき、早朝に七泰ダムから入渓。歩いてすぐの七泰ノ滝は激しい水飛沫を上げており、水量の多さを伺わせる。


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保色滝と槙滝は左岸から巻き。ロープを出した直後に残置ロープがあるのに気付くが、残置の過信も禁物なので安全第一ということで。今回の遡行は登攀に限らず、流されたらヤバい渡渉も多かったので、とにかくロープを多用した。


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フジネの美しい岩盤帯を越えると、高さ100mの百間嵓が聳え立つ。この辺も水量が多いので、左岸巻きを交えつつ進んでいく。


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ヒイラギ谷を越えると泳ぎが必要な淵が始まり、やがて100m以上もの長さのある焼嵓淵へ。ライジャケ装備なので泳ぎは楽。寒そうな後続をロープで引きながら進むと、淵の最後に斜滝が出てくる。ここは泳いで取り付いて、左壁を快適に直登。


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しかしこの後の渡渉が厄介でしばし逡巡。渡渉はロープをただFIXするだけでなく、流された場合のリカバリーまで考慮する必要があり、その場所の地形に合わせて適切なセッティングをしなければならない。カムで強固な支点を作り、流された場合の対応を逐一シミュレーションしながらロープ操作して何とか全員渡渉。

こと渡渉に関しては、スクラム渡渉、簡易三角法、末端交換三角法あたりも一通り使ったので、よい実践訓練になった。両岸の苔の付き方を見ていると、水量は平水+30cm以上というところか。今回苦労したポイントも、平水時はなんということもなく突破していけるのだろう。


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この後いよいよ核心の8m滝。泳いで右壁の凹角へ取り付き、そのままロープを引いて直上。ヌメって非常にスリッピーだが、残置も多いので何とかなる。ヌメリ慣れしていないTTさんは中間で登っている際に何度かスリップしていて大変そうだった。最後のトラバースは頼りない残置がぶらさがっているが、不安なので上部の木でピッチを切り、斜め懸垂で下りる。


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引き返しリミット前に核心を突破できたので一安心。十皿の付近は右岸からスダレ状の滝が虹を架けながらエメラルドグリーンの淵に落ち大層美しい。その先も花崗岩が陽光に映え、美渓ここに窮まれりと言った趣。


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そろそろ癒やし渓になったかなと思いきや、トビワタリ谷を過ぎた辺りで突破困難な小滝に阻まれ、二回ほど左岸をロープを出して巻いた。ここも水量が少なければ(以下略。


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ここから先は目立った難所はなく、ひたすら美しい景観を愛でながら進んで行く。後半は昨年行った旭ノ川を彷彿とさせる渓相。S字形の滝の手前でお湯を沸かしてラーメンを作り冷えた身体を温める。


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狼返しの滝を越えるとやがて堰堤が現れるのでここで遡行を打ち切り、左岸のガレを詰めて車のデポ地点へ。ロープ多用で思った以上に時間がかかったが、何とか増水した芦廼瀬川を日帰りで安全に遡行できた。

やはり本流系の遡行は水量次第だが、難易度が上がるほどその沢への思い入れが深くなるので良いタイミングに遡行できて良かった。芦廼瀬川は自然の造形美が堪能できる、素晴らしい沢だった。

着替えてデポしていた車に乗り込み、もう一台の車を回収して十津川の湯泉地温泉へ。ラッキーなことに温泉は無料サービス期間中でした。


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カオレ再び

ルート:川浦谷本流(2016/6/19)
メンバー:Minapoさん


三年ぶりに川浦谷本流へ。前回は増水しており、序盤の核心を突破できませんでしたが、今回は水量が少なく快適に突破できました。


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雨にも関わらず、橋からは10名程のギャラリーが核心突破トライを観戦。その後の遡行は前回は何度か泳いだはずなのに、全て歩いて通過できて拍子抜けでした。


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本流遡行は水量次第。水量が少ないと突破は楽で成功率は上がるが、何だか物足りない。やはり平水以上の時に遡行しないと。


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