雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

梅雨の晴れ間の芦廼瀬川

ルート:芦廼瀬川本流(2016/6/26)
メンバー:Minapoさん、TTさん


川浦谷の翌週は芦廼瀬川へ。梅雨時で紀伊は一週間ほど雨が降り続けており、増水時の充実した遡行が楽しめそうだ。今回のメンバーは沢を始めて間もないTTさんを加えた三名。土曜は雨だったので、日曜で日帰りの計画とした。


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6/26(日)
5:30 七泰ダム—8:50 ヒイラギ谷出合—12:50 核心8m滝上—13:45 トビワタリ谷出合—18:20 車デポ地点


前日の内に行動終了地点に車を一台デポしておき、早朝に七泰ダムから入渓。歩いてすぐの七泰ノ滝は激しい水飛沫を上げており、水量の多さを伺わせる。


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保色滝と槙滝は左岸から巻き。ロープを出した直後に残置ロープがあるのに気付くが、残置の過信も禁物なので安全第一ということで。今回の遡行は登攀に限らず、流されたらヤバい渡渉も多かったので、とにかくロープを多用した。


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フジネの美しい岩盤帯を越えると、高さ100mの百間嵓が聳え立つ。この辺も水量が多いので、左岸巻きを交えつつ進んでいく。


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ヒイラギ谷を越えると泳ぎが必要な淵が始まり、やがて100m以上もの長さのある焼嵓淵へ。ライジャケ装備なので泳ぎは楽。寒そうな後続をロープで引きながら進むと、淵の最後に斜滝が出てくる。ここは泳いで取り付いて、左壁を快適に直登。


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しかしこの後の渡渉が厄介でしばし逡巡。渡渉はロープをただFIXするだけでなく、流された場合のリカバリーまで考慮する必要があり、その場所の地形に合わせて適切なセッティングをしなければならない。カムで強固な支点を作り、流された場合の対応を逐一シミュレーションしながらロープ操作して何とか全員渡渉。

こと渡渉に関しては、スクラム渡渉、簡易三角法、末端交換三角法あたりも一通り使ったので、よい実践訓練になった。両岸の苔の付き方を見ていると、水量は平水+30cm以上というところか。今回苦労したポイントも、平水時はなんということもなく突破していけるのだろう。


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この後いよいよ核心の8m滝。泳いで右壁の凹角へ取り付き、そのままロープを引いて直上。ヌメって非常にスリッピーだが、残置も多いので何とかなる。ヌメリ慣れしていないTTさんは中間で登っている際に何度かスリップしていて大変そうだった。最後のトラバースは頼りない残置がぶらさがっているが、不安なので上部の木でピッチを切り、斜め懸垂で下りる。


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引き返しリミット前に核心を突破できたので一安心。十皿の付近は右岸からスダレ状の滝が虹を架けながらエメラルドグリーンの淵に落ち大層美しい。その先も花崗岩が陽光に映え、美渓ここに窮まれりと言った趣。


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そろそろ癒やし渓になったかなと思いきや、トビワタリ谷を過ぎた辺りで突破困難な小滝に阻まれ、二回ほど左岸をロープを出して巻いた。ここも水量が少なければ(以下略。


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ここから先は目立った難所はなく、ひたすら美しい景観を愛でながら進んで行く。後半は昨年行った旭ノ川を彷彿とさせる渓相。S字形の滝の手前でお湯を沸かしてラーメンを作り冷えた身体を温める。


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狼返しの滝を越えるとやがて堰堤が現れるのでここで遡行を打ち切り、左岸のガレを詰めて車のデポ地点へ。ロープ多用で思った以上に時間がかかったが、何とか増水した芦廼瀬川を日帰りで安全に遡行できた。

やはり本流系の遡行は水量次第だが、難易度が上がるほどその沢への思い入れが深くなるので良いタイミングに遡行できて良かった。芦廼瀬川は自然の造形美が堪能できる、素晴らしい沢だった。

着替えてデポしていた車に乗り込み、もう一台の車を回収して十津川の湯泉地温泉へ。ラッキーなことに温泉は無料サービス期間中でした。


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