雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

会越の情景 室谷周遊

ルート:会越 室谷川駒形沢~西ノ沢(2015/7/11-12)


七月の沢登りと言えば、やはり会越&下田川内。
このエリアはスラブ登りとゴルジュ泳ぎを交えた遡行が特徴的だが、今回のルートは駒形沢上部の桃尻スラブを登って、室谷の華と呼ばれる室谷川本流のゴルジュ帯を下降するという、実に贅沢な周遊プラン。

今回は会企画の一環として、ベテラン&実力派新人のメンバーで遡行してきました。


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7/11(土)
6:10 駐車場-8:00 駒形沢出合-10:30 奥壁基部-12:50 駒形山-15:40 西ノ沢500m地点BP

5時起床、堰堤横の駐車場まで車で移動して、6時過ぎに出発。
堰堤は車道を少し進むと沢への下降路があり、簡単に巻ける。
最初はやや平凡だが、徐々にへつりの楽しいゴルジュ帯に入って行く。


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大釜を持つ5m滝は右壁に取り付き、フリクションを効かせて快適に登る。
滝上は少し泳ぎが必要なので、自分が最初に突破して後続をロープで引っ張る。

 

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その後の長い淵は泳いでも行けそうだが、左岸から巻いて懸垂下降。
柱状節理の発達した側壁を楽しみながら進むと、やがて駒形沢出合に到着する。


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駒形沢に入ると先行者が二名。話をすると釣り目的とのことで、既に網の中には数匹のイワナの姿。我々は今回余裕なさそうだったので、残念ながら釣り道具はなし。


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10m滝を簡単に越えると、徐々に頭上にスラブの大伽藍が広がり始める。
しかし、前方には予想通り雪渓が出てくるので、左岸の藪を高巻いて雪渓が切れたポイントで懸垂下降。


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その後も断続的に雪渓が現れるが、上部を歩けるので特に問題なく奥壁基部に到着。
熱中症を警戒して、頭から何度も水を被る。


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スラブ帯はブッシュが適度に混在しているので、御神楽岳湯沢 ガンガラシバナ ほどの威圧感はないが、それが逆に特徴的な癒しの空間を作り出している。


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抜群のシチュエーションにテンションも最高潮!

フリーで先陣切って登り始めると、後ろからクライミングシューズに履き替えるから待って!と怒られる始末。


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桃尻スラブと呼ばれる曲線美の見事なスラブを抜けると、ボサ気味の斜面に突入。
左隣の沢に踏み換えながら登って行くと、途中に二ヵ所ほど登りづらい小滝が現れるので、ワンポイントだけだが念の為ロープを出す。


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最後は再び階段状の歩きやすいスラブ帯となり、絶景を眺めながら稜線直下へ。
稜線は当然ながら踏み跡などなく、20分ほど藪を漕いで駒形山山頂に到着。
山頂からは矢筈岳、御神楽岳など、このエリアの盟主が近くに見える。


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室谷川を挟んで対岸の稜線は、粘土に彫塑へらで無数の切れ込みを入れたかの様な斜面が広がっている。初めて下田川内に訪れて、五兵衛小屋から山域を俯瞰した時の感慨を思い出させてくれる。


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西ノ沢へは藪を漕いで下降。流水溝に出てからは小滝も出てくるが、左岸の藪を上手く使って一気に巻く。
大滝は最初ロープ一本で懸垂下降を始めるが、最後のテラスから下の分の長さが足りない。仕方がないので、もう一本のロープを連結して再び懸垂下降。


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懸垂下降はこの直後にもう一度だけだが、ここから雪渓が何ヵ所か出てくる。
一つ目はやむを得ず下をくぐったが、基本的に巻ける雪渓は巻くのがセオリー。


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15時半頃、標高500m地点に幕営適地を発見。実はもう少し下るともっとよい幕営適地があったのだが、前日の睡眠時間も短いので早目に行動終了。
焚火とタープで快適な夜を過ごす。


7/12(日)
5:30 BP-6:00 室谷川本流-8:40 駒形沢出合-10:40 駐車場

朝食はナポリタン。勿論、焚火付き。
室谷川まで特に難所もなく、30分程度で到着。懸垂下降で美しい本流筋に降り立つ。


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ここからの本流下降は、両岸に顕著なスラブ帯が広がり、見応え抜群。
特に核心部は両岸のスラブが沢床まで切れ込んでおり、見事なV字形のゴルジュを作り上げている。泳ぎはやや寒いが特に問題ないレベル。
但し、増水したらヤバすぎなので、晴れた日限定のルート。


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西ノ沢出合~駒形沢出合までは室谷川のハイライトというだけあって、とにかく美しい。これぞ室谷の華。


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駒形沢から先は往路のルートをそのまま下降、5m滝は右岸から懸垂下降。
時間も早いので、大休止して釜でしばらく泳んで遊ぶ。


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まだ10時台ということで下山するのが勿体ない感じだが、名残を惜しみながら入渓地点の堰堤へ。ロングルートということで気合を入れて臨んだが、蓋を開けてみると癒し系の沢旅であった。

お風呂はあすなろ荘、高速を飛ばして東京解散は会越レコード更新の17時。

今年も早速、充実の沢旅を満喫させてもらいました。