読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

ガンガラシバナと幻の大滝

sawa

 ルート:川内山塊 早出川 今早出沢~ガンガラシバナ~割岩沢下降(2014/7/19-21)
メンバー:KMさん、ハッチ

 

毎年それなりのオオモノを狙いたくなる海の日の三連休、昨年は微妙な予報の中で赤石沢を遡行したが、今年も微妙な天気予報。しかし仲間内で前々からガンガラシバナへ行こうと打ち合わせしていたこともあり、悪天予報ではあるがとりあえず現地へと向かうことに。

ちなみに下田川内は鎌倉沢~砥沢川光来出沢に続き、今回で三回目。サワヤには人気のエリアでもあり、いつも雪国特有のスラブに覆われた山肌と独特に発達したゴルジュに魅了されるのだが、今回もガンガラシバナを始めとした特異な地形と、スラブ壁特有の出水の早さにより、思いがけない風景と出会うことができた。


f:id:PerseidCross:20140720084613j:plain


7/19(土)
11:45 一ノ俣橋-(一ノ越)-14:40 今早出沢-17:00 C1

天候不順により転進も検討していたが、GPVの予報でギリギリ行けるかもということで一路、阿賀町へ。
初日は明け方から雨が降り始め、一ノ俣橋に到着した頃には土砂降りに。橋から沢の様子を伺うと案の定濁流が…。この状態での入渓は厳しそうなので、しばし車内で待機。
しばらくすると朝方入渓したらしき釣師パーティが撤退してきたが、この頃には大分雨脚も弱まっていたので、入れ替わる様に出発する。
はじめはピンクのテープによるマーキングを目印に沢沿いに付けられた踏み跡を進むが、やがてマーキングは沢から離れて山の方に入っていくので、そこからは沢沿いを遡行。その後、沢筋にも所々マーキングが出てくるが先のものとは繋がっていなさそう。
一つ目の大滝は水線左から直登できるが、次の大滝は登れないので、直前の二俣から左へと進む。しかしこの後すぐに水流はなくなり、枯沢を詰めると藪尾根に乗り上げてしまう。どうやら一ノ越の大分手前で藪尾根に入ってしまった様だ。
実は大滝手前の二俣から左に進んだ後、小滝の手前ですぐに大滝を右岸から巻く右手の踏み跡に入るべきだったのだが、藪で隠れており初見では見逃してしまった(下山時に確認)。仕方がないので藪の中を適当にトラバースして一ノ越まで向かう。


f:id:PerseidCross:20140719150224j:plain


一ノ越からは今早出沢方面には薄い踏み跡が付いており、比較的簡単に下降できる。藪で迷ったわりには三時間程度で今早出沢に降り立つことができた。
雨は止んでいるものの、午前中の豪雨で沢は増水気味。しかし遡行する分には問題なさそうなので、適当な幕場適地まで進むこととする。途中で魚影が見えたのでしばし釣竿を出して粘るが、残念ながら釣果なし。
途中で刈り払いされた如何にもな場所があったので、初日はここを幕場とする。



7/20(日)
5:20 C1-7:00 今早出沢上部二俣-7:50 ガンガラシバナをロープ出して登攀開始(5ピッチ)-9:50 ガンガラシバナ上で雨宿り10:40-12:40 稜線-ドゾウ平沢下降-15:50 割岩沢出合(ジッピ往復して遊ぶ)16:30-16:40 C2

三時半起きで、早々に出発。曇りベースだが一部青空も見えており、なんとか今計画の核心部を突破できそうな感じ。出発後30分程で横滝に到着するが、巻くのも面倒なので朝の準備運動も兼ねて直登する。
幕場から一時間半程でついに上部二俣に到着。雪渓の先には魚返しの滝、そして右手を見上げると待望のガンガラシバナの大伽藍が眼前に広がる。


f:id:PerseidCross:20140720072942j:plain


下部の雪渓は適宜巻き、大滝左手のスラブ帯に取り付く。良い感じのテラスがあるので、ここでロープを出して登攀開始。ルートは無数に取れ、我々も好き放題に登っていただけなのでルートの詳細は割愛。


f:id:PerseidCross:20140720093136j:plain


四ピッチで大滝の落ち口直下に付ける。ここから最後のピッチで落ち口まで登り始めるが、気付いたら今早出沢を挟んで対岸の山肌に雨が降っているのが見える。そして、今まではただのスラブ壁だった斜面に、突如無数の大滝が出現する。200m級の大滝もどんどん現れ、雨が強まるのに合わせて水流もどんどん勢いを増す。
あまりにもの変化の早さに茫然とし、もはや笑うしかない。まさに「幻の大滝」と云うに相応しい大滝群。先ほど遡行してきた沢筋は濁流と化しており、さながら早出マジックといったところである。


f:id:PerseidCross:20140720093725j:plain

やがてこちらの斜面にも雨が降り始めたので、登攀終了後しばらくタープを被って雨宿り。足元を見ると、先ほどまでささら流れていた大滝の落ち口が見事なヒョングリと化しており再び大爆笑。こんなに変化の激しい山の姿が堪能できるなら、雨に降られるのも悪くないかも。
一時間ほどで小雨になったので再び行動開始。地形図を見ると藪尾根からの稜線取り付きは現実的ではないので、少し藪を漕いだ後、沢沿いの雪渓に下りる。この時点でさっきとは一転して青空が広がり、盛夏の沢登りといった雰囲気に。雪渓は一旦切れるので一度藪に取り付き、懸垂下降で沢床に下りる。少し上で再度雪渓が現れるのでこちらも上に乗って進むが、先ほどの雨で水分を含んでおりシャーベット状態。沢バイルが良く刺さって歩きやすい。
沢は下矢筈岳方面に向かって上がって行くが、今回我々は割岩沢上部で尾根に突き上げる三本の沢の内、一番下流側のドゾウ平沢を下降する予定なので、最短ルートを目指して右側の稜線に向かって伸びる沢型を詰める。


f:id:PerseidCross:20140720111852j:plain


12:40に稜線到着。台形状の青里岳がよく見える。ここからブッシュを掴みながら斜面を下降し、途中から沢筋へ。ドゾウ平沢は他二本の沢と比べると比較的穏やかな様だが、大滝も四つ程あって一つクライムダウンした以外は都度灌木での懸垂下降となる。特にCS滝は通常の懸垂では水流にまみれてしまいかなり厳しいので、右岸の際どい草付をトラバースして懸垂支点を探る。なんとか良いところに灌木があって助かったが、そうでなければ両壁ともスラブ壁が広がる沢なので大高巻きに入らざるを得ないところだった。


f:id:PerseidCross:20140720155734j:plain


16時頃に割岩沢に到着。ちょうど滝の後退現象で形成された逆V字状の「ジッピ」と呼ばれる狭隘なゴルジュの出口に降り立つ。実はこのジッピ、ガンガラシバナと合わせて気になっていたスポットなので、折角なので突入してみることに。荷物を一部デポし、ジッピを泳いで突破する。噂によると上流の山抜けで埋まったとされるが、実際に通過してみるとやはり暗くて底の見えない恐ろしさを感じる。


f:id:PerseidCross:20140720162536j:plain

ゴルジュの先まで行って戻ってくるとまた雨が降り始める。ジッピで濁流に飲まれたら洒落にならないので流れに乗って一目散に撤退。時間も時間なのでビバーク地の選定を始める必要があるが、下流を見てみると概ねスラブ壁の広がっている沢筋にあってちょうどエスケープに取れそうな尾根筋が左岸から下りてきていたので、そこに取り付く。

沢はやがて濁流に覆われ、先ほどまで癒し系のナメ滝だった枝沢はダムの放水時の様な暴力的な流れと化した。とりあえず増水の心配がない高さまで尾根を登り、タープを張って二日目の夜を過ごす。


7/21(月)
5:00 C2-8:20 今出-9:20 赤ッパ沢出合-(一ノ越)-12:20 一ノ俣橋

三時起床で五時出発。割岩沢の下降は核心後のおまけ程度に考えていたが、中々どうして想像していた以上に魅力的な渓相。スラブ壁に刻まれた沢筋に、宝石のような青や赤の岩が点在する。


f:id:PerseidCross:20140721072006j:plain


ひょうたん淵を右岸から巻き下り、夕沢の出合を過ぎると、特にその美渓ぶりが増す。陽光に煌めく淵を幾度となくラッコ泳ぎで流れ下りる。


f:id:PerseidCross:20140721081503j:plain


ジッピ近くの幕場から約三時間半で今出に到着。ここからは再び今早出沢を遡行して一時間で初日に下降した赤ッパ沢出合に到着する。早出川との名残を惜しむかの様にまったりと大休止を取った後、再び一ノ越に登り返し。


f:id:PerseidCross:20140721094320j:plain


一ノ越からの下降点はマーキングされており、下降時はスムーズだったが、沢筋の本流ではないところがルートになっているので、一ノ俣橋側から一ノ越を目指すときはルーファイが難しいかもしれない。(我々はもっと手前で外したが…)
今早出沢から三時間弱で一ノ俣橋に到着。茹だる様な暑さの中、充実感に浸りながら下界へと戻った。