八ヶ岳東面 part3 杣添尾根
十二月の天女山〜権現岳、県界尾根〜赤岳に続く八ヶ岳東面第三弾ということで、今回は杣添尾根〜横岳に登ってきました。
折角スキーを履いていったにも関わらず、天候が安定せず、結果的には出戻り。八ヶ岳東面シリーズは気象条件により、ことごとく当初の予定からの変更を余儀なくされているので、個人的には要リベンジなエリアになりつつあります。
2/17(日)
5:30 駐車場-10:20 横岳-12:30 駐車場
前夜泊だったがシュラフを持ってくるのを忘れ、毛布とツエルトがあるから大丈夫でしょうということで出発したが、よりにもよって今冬一番の寒さに近い冷え込みで、ゆっくり寝ている場合ではなかった。
翌朝、気を取り直して登山口に向かうが、駐車場が雪で埋まっており、まずは準備運動を兼ねて除雪タイム。恐ろしい冷え込みで指先が凍傷になりそうなので、万全の装備で出発する。
駐車場から先は別荘地エリアなので、暗さで目印に気づかないと微妙に迷う。一度、南八ヶ岳林道に出てから橋を渡ったところで、杣添尾根に取り付く。
尾根上はところどころ薮が濃いが、シール歩行に慣れていれば、なんとか登れる。
稜線直下のわずかな部分だけ、アイゼンに履き替えて、五時間弱で三叉峰に到着。ルートミスやシールトラブルなどで余計な時間を食っていたので、サクサク進めば四時間ぐらいで行けそう。
事前に山小屋に確認すると、今年は例年よりも雪が多いという事であったが、稜線から見る限り、とてもその様には見えない。強風で雪が飛ばされてしまったのであろうか。
昨日からの強風で雪の表層はウインドスラブ。高気圧が来つつあるものの、まだ風が残っており、あまり快適とは言えないコンディション。少々心残りではあるが、早々に杣添尾根を出戻る。
杣添尾根の薮は中々強烈で、登りはまっすぐに歩くので良いものの、ターンが必要な下りではかなり大変。ほとんどまともに滑らせてもらえず、モヤモヤ感の残る中、山行が終了。下山すると風も止んで、天気も曇りから晴れへと代わる。チャンスを掴むのも中々簡単ではない。
せっかく時間に余裕があるので、周辺をしばらく調査。登山体系と地形図を片手に、双眼鏡を覗き込む。未知のエリアは、ルートが繋がっているかの事前情報が非常に重要で、登山体系に記載されている滝が実際にどうなっているか、直前に確認しておく必要がある。
なんとなく行けそうに思っていたルートも、実際に観察してみると10mぐらいの氷瀑があったりするので油断ならない。また、事前の観察で全てクリアになることも少ないので、不確定要素の大きいルートに入る際は、ダブルアックス、ロープ、ハーネス、プロテクションギア、スクリュー、スノーバーなどの装備が必要。
氷瀑を下降しなければならない可能性もあるので、アイスクライミングの基礎的な技術も身につけておく必要がある。
未知のルートを滑降したい場合は、山スキーの技術に加え、雪稜やアイスといった冬山全般の基礎的な技術、そして事前の入念な情報収集と、現地での精緻な観察が必要となってくる訳である。
技術的にエキストリームに行きたいという気持ちにはとてもならないが、スティープ系のルートであれば、チャンスを掴めば自分でも滑れるし、そこに至るまでのタクティクスを考えるのは、とても面白い。
今期チャンスがあれば、もう一度挑戦しに行きたい。