水無川北沢
ルート:水無川北沢(2016/10/15-16)
メンバー:ikeさん
先週水無川の日帰り沢を二本やったので、今週は満を持して北沢へ。本当はハッチも来る予定だったが仕事の都合で断念。シルバーウィークに八海山から中ノ岳までソロ縦走してこの辺の様子を偵察していたというikeさんと二人での山行となった。
10/15(土)
5:40 駐車場-8:10 一つ目の高巻き 9:20-10:00 関門の滝-11:15 真沢出合二俣-12:30 北沢右俣出合二俣-14:40 河原C1
一週間ぶりの水無川流域。今週末は天気も良いという事で、他のサワヤの姿もちらほら。まずは一週間で三度目となるデトノアイソメまで、眠気覚ましのアプローチ。
滝沢出合を越えると暗峡となるが、左壁からの楽しいへつりで濡れずにパス。
オカメノゾキ下部の荒々しい姿を楽しみながら進んでいくと、登れない滝のあるゴルジュに到着する。ここで単独の遡行者を追い抜き、左岸ルンゼからの高巻きに入る。
例年はここに大きな雪渓がある様だが今年はさすがに消滅している。場合によっては水線沿いも進めるかと思っていたが、上から覗いてみると登れなさそうな滝が続いているので、セオリー通り御月沢をトラバースして大きく巻いていく。
なんとなく薄いところをつないで進んでいくと降りやすそうな小沢にぶつかったので、そのまま沢底に向かって下降し、ゴルジュ帯最後の滝上を左岸の草付きからトラバースして落ち口に出れば高巻き終了。一時間ちょっとですっきりと巻けた。
西沢出合を過ぎ、遠くに関門の滝が見えてくる辺りで、今度は前方のゴルジュを右岸巻き。こちらもなんとなく薄いところを繋いでいくと懸垂支点が設置された灌木にでるので、ロープ二本を連結して懸垂下降。全体的に踏み後明瞭でメジャー沢の雰囲気。
そしていよいよ現れる関門の滝。簡単な登りだが、念の為1Pロープを出す。その上のくの字状滝は下部のスラブは容易。続く上部は左壁から1Pで落ち口へ。
この後も釜を持った小滝が連続するので、フリクションを効かせながら進んで行くと、いよいよ二俣が見えてくる。ここでikeさんがへつりで滑ってドボンしてしまったので、着替えがてら大休止。
二俣は右手に幣の滝150m、左手に120mナメ滝が広がり、今回のハイライトとも呼べる素晴らしい景色が広がる。
北沢のナメ滝をフリクションを効かせながら登っていくが、連瀑はどこまでも続く。やがて直登できなくなる滝が出てくるので、左岸の藪を利用しつつ進んで行く。
連瀑帯を過ぎると小ゴルジュが現れ、ここを楽しく突破するとやがて二俣に到着。ここは左俣に進路を取る。
左俣は最初から連瀑帯なので右岸のリッジから取りつくが、何も考えずに登っているとそのまま大高巻きしそうなので、一度沢底に戻れないか探ってみるとなんとかクライムダウンで降りられそう。
連漠帯はしばらく続いており、上部に厳しそうな滝も見えているが、とりあえず近づいてみないと分からないということで、水線沿いに進むこととする。
ややバランシーな8m滝を一つ越えるとさらに厳しそうな10m滝が現れる。左岸巻きもできそうだったが、なんとか直登できそうだったので取付いてみる。最初がいきなり釜のへつりなのでビレイヤーが大分後方になってしまい具合がよくない。仕方がないので20mぐらい進んだところのテラスで一旦ピッチを切り、しっかり確保体制を作ったところで、核心のスラブに取りつく。
スタンスが細かく出だしが緊張したが、気合でなんとか突破してそのまま右壁を直登。通常は巻かれる連漠帯だが、いざ取付いてみると充実した滝登りが楽しめ、思いがけぬ拾いものをした気分。(但し、あまりにも必死だったので核心の滝は写真なし…)
その後も少しゴルジュが続くが、やがて河原状の地形が現れるのでここで幕営とする。夜はこの時期かなり冷え込むので、焚火を起こして暖まらないとつらい。
10/16(日)
7:00 C1-8:25 奥の二俣-10:30 登山道-11:00 越後駒ヶ岳-14:00 駐車場
明け方は寒すぎるので中々シュラフから出られない。濡れた行動服を着るのを躊躇っていたら、出発が7時なってしまった。
開けた河原状を過ぎるとゴルジュ地形になる。最初の小滝はぬめっており、寒さで動かない身体では緊張させられる。
その後の小滝もどんどん直登するが、同行者は濡れるのを嫌って左岸の草付きを巻いていたが、個人的にはこちらの方が高度感があって怖い。
両岸がどんどん聳え立ってくるが、この辺は例年雪渓が残っているらしい。今年は条件がよくここも雪渓皆無。通常は雪の下に埋まっている谷の全容が拝めるのは得した気分。
ゴーロメインで特に難しい滝はないが、とにかく両岸の切れ込みがすさまじくて圧倒される。これらの景観は、悠久の時を経て雪に削られて作られてきたのだなと思うと感慨深い。ちなみにこのゴルジュは稜線からだと隠れて見えないので沢を遡行したものだけが見ることができる。
ちなみに真沢はスラブ滝がメインなのに対して、北沢はゴルジュが際立っており、その対比が面白い。北沢は上流部で水平方向に長く伸びているので、その地形の差が沢の形を特徴付けているのであろう。
奥の二俣を越えるとやがて太陽が当たりだし、滝をいくつか越えると美しいナメが現れて癒しの源頭となる。
クボを進めばあまり藪漕ぎもなく、極楽尾根分岐近くの登山道に詰めあがる。
空身で越後駒にピストンしていると、オツルミズをのぼってきたわらじの御三方に出会う。山頂は大賑わいで、八海山や中ノ岳の展望が素晴らしい。今週の越後三山は大当たりだった様だが、そのド真ん中を遡行してきたというのは中々気分が良い。
紅葉と水無川エリアの景観を楽しみながら、二週間ぶりの極楽尾根を下山。泥状になっていなければ大分歩きやすい。(先週は十回ぐらい滑った)
ちなみに下山後は二週続けて五十沢温泉へ。やけに自転車チームの車が多いなと思っていたら、どうやら東日本ロードクラシック南魚沼大会が開催されていた様で、トップ入賞のスペイン選手と期せずして相風呂となった。
ワンゲルの後輩もこのレースに参加していた様で、中々の成績を収めていたらしい。身内が頑張っているというのは励みになる。これからも頑張りたい。
デトノアイソメ周辺散策
10月の三連休は泊りの沢を予定していたが、全体的に天気が悪く沢中ができる状態ではなかったので、越後水無川の日帰り沢を二本実施。特に天気の悪い一日は周辺観光を楽しんで、天気が悪いなりに充実した三連休を過ごすことができた。
ルート:水無川デトノオオナデ沢(2016/10/8)
メンバー:ハッチ、MNPさん
6:30 駐車場-8:40 デトノオオナデ沢取付-12:00 鉱山道尾根-14:50 駐車場
しばらく林道を歩き、堰堤を越えた辺りから入渓。午前中は天気が持つかと思いきや、たまにポツポツと降ってくるので嫌な感じ。小一時間歩いて辿り着いたデトノアイソメは雪渓皆無。ここから右手の沢に少し入ると、デトノオオナデ沢の入渓点となる。
いきなり120m大滝が現れ、沢というより大滝登攀みたいな雰囲気だが、下部はそこまで難しくはなさそう。ただ、水無川流域は雨による出水が早く、すっきりしない天気をどう判断するかが難しい。
しばらくツェルトで雨をやり少し、少し雨が弱まったタイミングで、行けるとこまで行こうと出発する。
大滝の下段はフリーで登り、途中から水線左側をロープを出しながら登る。
中段はあまりスタンスがよくなく、濡れた岩の登攀は緊張させられる。ここが核心部でハッチがリードで越えてくれた。ブッシュ帯で切った後の上段はロープを出すものの、そこまで難しくなく快適に滝の落ち口に抜ける。
せっかく大滝を登って気分も盛り上がってきたが、今度はガスが湧いてきて視界もなくなる。しばらく手頃なスラブ滝を登っていくが、天気が回復する見込みもなく、帰りの沢歩きの増水も心配なので適当なところで行動打ち切り。
下山はデトノオオナデ沢上部を見上げて右手にある尾根を下降する。ここはガナヤマヅルネや鉱山道尾根と呼ばれており、過去に登山道が付けられていたライン。
どれだけ荒廃しているかと思いきや、藪をトラバースして取り付いてみるとかなり明瞭な道、というか立派な登山道。このルートは稜線直下が不明瞭で迷う人もいるみたいだが、中腹以降は問題なさそうだ。
悪天の為、水無川の深淵部は覗けなかったが、とりあえず前哨戦ということで一本やれてよかった。
元々、二泊三日の計画だったので、日帰りに変更した際の泊りの場所が問題だったが、ラッキーなことにメンバーの知人の実家に泊めて頂けることになる。しかもそこが某流域の玄関口ということで、サワヤ的には大興奮。とれたての新米や地元の野菜まで御馳走になり、素晴らしいひと時をすごさせて頂いた。
翌日はさらに天気が悪いので、車で下界観光。
昨年の大地の芸術祭で行けなかった作品を見に行ったり、酒蔵巡りをしたりと充実の一日。ボルタンスキーは豊島や庭園美術館も見に行ったが、やはり最後の教室が際立っている。
夜はいつぞやの奥利根合宿の打ち上げで利用した五十沢温泉の旧館に泊まり、八海山の花火を見ながらのんびりと過ごす。
ルート:水無川滝沢(2016/10/10)
メンバー:ハッチ、MNPさん
6:00 駐車場-8:15 滝沢出合-10:50 並び滝-12:15 核心部連瀑帯入口-14:20 奥ノ二俣-15:20 極楽尾根-16:40 駐車場
三日目は天気がやや回復するので、デトノアイソメより少し進んで、グシガハナに突き上げる滝沢へと入渓する。
F1を左壁から快適に直登すると、落ち口にびっしり残置があるので、それなりに入渓者は多いようだ。
続く滝は左壁に取りつくがいやらしい草付きでやや苦戦。二俣を右に進んで出てくる8m滝は左岸から巻く。
30m4段滝は見た目も立派なので、直登意欲を駆り立てられる。ハッチリードで右壁を登るが、落ち口で良い支点が取れないらしく小滝の上まで巻きあがってピッチを切る。
その後もF5、F6と頑張れば登れそうな滝が続くが、時間が厳しかったのでここは右岸から一気に巻く。
やがて前方に左右に並んだ滝が見えてくるが、ここが地形図にも記載されている並び滝。沢自体は三ツ俣になっており、右俣と中俣の中間尾根を登って、途中で中俣の滝の途中に出る。落ち口からの景色は中々素晴らしい。
この連瀑帯を越えると沢はゴルジュ地形になり、右手に15m2段滝が現れる。ここはロープを出して右壁を直登。この先はさらに強烈なゴルジュとなっており、先ほどと同じように右手から3段30mの滝が掛かる。
本流沿いは少し先に登攀不可能な凄い切れ込みがあるが、よく見ると右手の滝を右岸から巻くトラバースラインが見出せるので、ここを登ることとする。最初は草付きでまともなプロテクションが取れず怖いが、後半は適度にブッシュがある。なんとなく踏み後チックでそれなりに使われている巻きルートという印象。
1ピッチで尾根の乗越に辿り付いてロープをしまい、藪漕ぎトラバースで連瀑帯の途中に戻る。
15m滝はスタンスが細かいがなんとか登れそうなので、ロープを出して直登。登ってみるとその上にも滝が続いていたが、そのまま右岸の藪に入って最後は巻きで終わり。ここで滝沢の核心部は終了となる。
後は平凡な渓相を詰めていくのみだが、途中から極楽尾根への近道となる左手のクボに入り、多少藪を漕いで登山道に到着。メンバーのバスの時間がちょっと厳しそうだったので、急傾斜で泥で滑る登山道を駆け下り、最後の林道は走って駐車場へと戻る。
滝沢はその名の通り滝が延々と続く沢だったが、真沢や北沢のイメージと比べると渋めの渓相で、夏合宿のプレで来るようなイメージ。やや手強い滝もあるが、比較的巻きが明瞭なのでそれなりに安心感はある。
これでデトノアイソメ周辺の土地勘も大分身に付いたので、来週はいよいよ深遠部を目指す。
一ノ倉沢本谷&マチガ沢東南稜
今年は残雪が少なく一ノ倉沢本谷下部も狙い目ということで、会山行として谷川集中を企画。天気予報があまりよくなく、直前に何名かはキャンセルしたが、それでも二十名程度のメンバーが集まり、各方面のルートを普段組まないメンバー同士の交流も兼ねながらトレースした。
ルート:谷川岳 一ノ倉沢本谷下部(2016/10/1)
メンバー:会のメンバー3名
10/1(土)
9:15 一ノ倉沢出合-10:15 テールリッジ取付横-11:25 幻の大滝-15:00 南稜テラス-17:40 一ノ倉沢出合
午前中は雨だが、午後から回復する予報だったので、時間を遅らせて行動開始。雨もそこまで強くなく、ガスも薄いので問題なさそうだ。
今回は本谷の遡行なので、一ノ倉沢出合からひたすら本谷沿いに進んでいく。テールリッジ取付あたりまでは概ね問題ないが、岩が濡れていて滑りやすいので、安全の為に一度ロープも出した。
ここから沢は左に折れて、登れない7m滝が現れるので右岸から高巻く。一見簡単そうに見えるが、浮石が多くスタンスがいまいち安定しないので、途中からロープを出して落ち口までトラバース。
沢が右に折れると大スラブ帯が前方に広がり、圧巻の光景の中、グイグイと高度を上げていく。ロケーション的には本谷下部のハイライト。
二ノ沢を左に分けると、すぐにゴルジュ状地形となり、いよいよ数年ぶりに露出した幻の大滝とご対面。しかも今回は雪塊が皆無なので、かなりレアなシチュエーションだと思われる。
幻の大滝は左壁のクラック状を斜上するが、見た目の容易さに反して意外と変則的なムーブを求められる。他パーティもいないのでじっくり登ったが、ここは落石が集中するポイントでもあるので、あまり長居をしない方がいいかもしれない。
そのまま上部の9m滝も右岸から巻いて、再び大スラブ帯の前に降り立つ。晴れてればフリクションを効かして快適に登れそうだが、濡れているといまいちグリップが信用ならない。落ちたらかなりの距離を滑り落ちることになるので、ロープ1Pでスラブを斜上して右壁側に取り付く。
ここからはホールドも豊富なので、フリーでどんどん登って行けるが、この辺から濃いガスに巻かれて視界不良。本谷バンドを探しなら登るが、周りが見えないこともあり、正規のラインの少し下から南稜テラスに向けたトラバースを行ってしまった。辿り付いた先はただの藪尾根だったので、少し藪を登って無事に南稜テラス到着。
ここからの下山も視界不良&濡れた岩ということもあり、ロープを多用したので結構時間がかかってしまった。やや想定外のこともあったが、何とかヘッデンを使う前に出合に戻ることができた。
今回は集中山行でもあるので、この後は仲間と合流して遅くまで宴会。
ルート:谷川岳 マチガ沢東南稜(2016/10/2)
メンバー:会のメンバー3名
10/2(日)
5:50 マチガ沢出合-6:50 マチガ沢入渓-10:00 東南稜取付-14:15 オキの耳-17:00 西黒尾根登山口
この日は前日よりもマシな予報だが、その分他パーティも多いので東南稜の渋滞が怖い。宴会でグロッキーなメンバーを急かして行動開始。
まずは厳剛新道を第1見晴台まで進み、ここからマチガ沢に入渓。序盤は概ねゴーロ帯だが、ゴルジュ地形に入ってからの滝場は最初の滝でロープを出した以外はフリーでガンガン登って行ける。
今回、沢登りが初めてのメンバーもいたが、クライミングに強いので借り物のフェルト靴でも危なげなく登っていた。早速、沢登りの楽しさを感じてくれている様だが、ここまで気持ちよく登らせてくれる沢は他にあまりないかも…。
二俣を水量の少ない右俣へ進み、濃いガスの中、地味なルーファイを行いながら幾つかの滝をフリーで越えていくと、思ったよりも早く東南稜の取付きに到着。ちょうど先行パーティが登りの準備を始めたところだったので、しばらくここで待機する。
1P目は一見難しくなさそうだが、凹角から抜けるところがドロドロのグチャグチャでかなり悪い。今回初沢登りのメンバーがリードで抜けられたのはお見事。
2P目は自分がリード。右のクラック沿いを登るが、上部で先行パーティとクロスしそうだったので、一旦バンドを右側にトラバースしてから、折り返す様に岩間の急な草付きルンゼを斜上。あまりよいホールドがなく、引いてるロープも異常に重いので、苦戦している内に左手のピッチを切るのによさそうなテラスを見送ってしまい、少々やばいラインへ入ってしまう。先にハーケンがあるのでルートかと思っていたが、よく見るとカラビナもかかっているので敗退支点の様な気もする。後続は見送ったテラスでビレイを取ってもらい、全員登り切った後、そちらに自分も戻る。
ルーファイすると、このテラスからリッジ状を登る方が明らかに楽そう。ここのセクションを登っている間にも、続々と後続パーティが下から取りついており、かなりの渋滞となっていることが予想される。結局、この後は落ちたらやばいので念の為にロープを出すが、ルート的に難しいわけではないという感じだったので、サクサクと進む。
この日は終始ガスがかかっていたが、ガスの切れ間に国境稜線からこちらの様子が見えるらしく、多くのギャラリーの注目の的になってしまった。大勢の声にかき消されてコールが聞こえない(汗)。最後はロープをしまって、わずかな登りでオキの耳へ。
山頂でギアを整理した後、本日閉山日を迎えた谷川岳を後にして、紅葉の始まりかけている西黒尾根を下山した。