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雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

ザラメの穂高

ルート:白出沢〜涸沢〜北穂〜涸沢〜白出沢(師匠のみ:滝谷C沢左俣)
メンバー:OMさん、Sさん、SHOさん

 

先日OSKさんに AMP RICTOR 90 XTi を譲って頂き、そのついでにスティープ系一本行こうと言われたので初級系だと思って二つ返事で即答したところ、何故か上がってきたエリア名が滝谷、しかも幾つかあるラインの内、格上のC沢左俣…。

新しい板で行くにはヤバ過ぎるだろうと思いつつも、条件的には良さそうだったので、勉強を兼ねて付いて行ってみることに。

 

5/10(土)
7:15新穂高−11:15白出沢大滝巻き開始−15:00穂高岳山荘−(小豆沢滑降)−15:45涸沢


仕事明けの睡眠時間確保等で時間がずれ込み、7時過ぎに新穂高発。白出沢出合までは約一時間の林道歩き。二週間前に涸沢岳西尾根で歩いたばかり。

白出小屋からは白出沢左岸の登山道を進むが、すぐに雪と薮でルートが不明瞭になる。
すぐ隣の涸沢岳西尾根はバリエーションルートにも関わらずバッチリマーキングされていたのに、なぜ白出沢の登山道はマーキングしていないのだろうか。
薮でウロウロしていて無駄に時間をロスしてしまったので、早めに沢底に降りてしまった方が良かった。

白出沢大滝の手前でアイゼンに履き替え急斜面の巻き道へ。こちらも同様にマーキングがないので、初見だとやや迷う。

 

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巻きが終わると再びシール登高開始。上部に見える穂高岳山荘目指してひたすら登るのみ。新穂高からだと1900mのハイクアップだが、先週の黒部源流部横断と違って縦走装備じゃないので、そこまで苦ではない。ただ、登り始めが遅かったので、日中の日差しをまともに受け、日焼けと暑さがツラい。

斜面が緩んでいたのでかなり上までシールで行けたが、稜線直下はやや固かったのでアイゼンに履き替える。

 

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ここは一年前に篠崎先生が落石を頭部に受けて亡くなったところでもある。今日は雪が緩んでいるので落石があってもスピードが落ちて避けられる可能性も高くなるが、斜面が氷化していると落石も加速して弾丸の様に突っ込んでくるので非常に恐ろしい。篠崎先生に黙祷を捧げてから、粛々と標高を上げて15時に穂高岳山荘到着。

山小屋には四月から元同僚のKI氏が入っていたが、GW前半に奥穂に登った際は気付かずスルーしてしまったので、改めてご挨拶。小屋奥から現れたKI氏は真っ黒に日焼けしていて、見てくれは山屋のそれであった。

 

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ここからスキーに履き替え、涸沢までややカタめの小豆沢を滑降。上高地から登って来た登山客がちょうどゆっくりしていた頃だった為か、大勢のギャラリーに注目されている中でのヘマできない滑降。

 

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トップのOSKさんはジャンプターンを交えながら、ノンストップでパーフェクトな滑りを披露。その後ろを自分が今回初滑降となるリクターでシュプールが被らない様に続く。評価の高い板だけあって、エッジングのキレや板の強さもバッチリ。すぐに馴染んでくれたので、これから長い間活躍してくれそうだ。

この日は涸沢で泊。滑降を見ていた人達に一通り絡まれる。天気も良く、最高の穂高ビュー。穂高稜線からのスティープルートを一通り教えてもらうが、果たして行く事はあるのだろうか…。

 

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5/11 (日)
7:00涸沢−9:30北穂12:30−(北穂沢滑降)−13:20涸沢−15:00穂高岳山荘−(白出沢滑降)−15:40荷継沢出合−18:40新穂高


7時に涸沢を出発して、北穂に向けて700mのハイクアップ。

先週は雪崩とデブリの巣だったらしいが、数日前に降った雪でリセットされキレイな斜面。早朝から続々と登山者が上がって行く。

 

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9時半に松濤岩の脇に登り上げて、ロープを付けてお目当ての滝谷C沢左俣をチェックしてみると……カタい…。どうやら他の斜面が緩んでいても、滝谷は強風や地形的な特徴で中々緩まなさそうだ。

 

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仕方が無いのでしばらく緩み待ち。北穂山荘でカップラーメンをすすっていると、南岳付近でスキーヤーがドロップしているのが見えた。

正午頃に再びドロップポイントに行って見ると、大分緩んできてはいるものの以前カタさが残っており、滑ったら一発アウトの急斜面。おまけに下はノールで見えず、その先がどうなっているか分からない。落石や雪崩も怖いし、滑降技術のみならず、氷化斜面での適切な対応力も求められる。今回は師匠二人でギリギリのコンディション。

…残念ながら自分はおとなしく出戻り。師匠二人を見送り、北穂沢を雪崩を誘発しなさそうなポイントまでクライムダウン。

 

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昼過ぎで眼下に登山者の姿も見えなくなったので、途中でスキーを履いて登山者トレースのスキーヤーズレフトにトラバって滑降。最高に気持ち良い面ツルザラメを涸沢まで存分に楽しんだ。

 

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涸沢から再び穂高岳山荘へ登り返すが、傾斜が緩いので山頂直下までシール登高で比較的楽に登れる。奥穂直登ルンゼを見ると二人分の滑降トレースがあったが、これはYSHR先生パーティのものだった様だ。

15時に穂高岳山荘に到着すると、KI氏はじめ山荘の方達が小屋外でおやつタイムを取っていたので再び挨拶。昨日はすぐに滑り始めてしまったので、今日はじっくりと山小屋生活の様子を拝聴。やはりGWの遭難騒ぎは大変だった様だ。

最近は山小屋の人が親切心で注意しても、すぐにネットで非難されてプチ炎上するので強く言いづらい風潮ができている様に感じるが、それは裏を返すと危うそうな登山者に対して現場で事故る前にブレーキを掛けてあげる存在がいなくなるということにもなるので、個人的な感情で非難している人間はその辺の点も踏まえた上で冷静に発言して欲しいと思う次第。

折角なのでKI氏とツーショットを撮ってもらったが、二人ともとてもカタギに見えない風貌で、写真の公開はちょっと躊躇われる感じ。

 

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ここからの白出沢滑降も良い感じに斜面が緩んでいて、思いがけず面ツルザラメ。お目当てのルートは滑れなかったが、快適なザラメを二本楽しめたので結果的には満足。白出沢下部はさすがにデブリーランドだったので、足早に通過。

荷継沢出合には、師匠コンビとほぼ同じタイミングで到着。滝谷C沢は中々のハードコンディションだった様子。滑降難度もさることながら、滝谷は条件を読むのが非常に重要で、そういう意味では今回は上手く当てられた様だ。

ただし、条件が良くても基本的にはカタいので、絶対に転ばない滑走技術と、状況に臨機応変に対応する山屋としての力が必要不可欠とのこと。

 

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おニューの板で挑戦はさすがにナメすぎだったので、まずはしっかり滑り込んで経験値を詰み、滝谷の入門ラインから挑戦が妥当なところか。夕日に染まる北アを背に足早に新穂に下り、即効で温泉に入って帰京。

スティープ系の締めは成らなかったけど、色々とタクティクスを学ばせてもらって有意義な山行でした。