雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

カオレゴルジュはじめ

ルート:奥美濃 板敷川 川浦谷 海ノ溝洞&本流中流部ゴルジュ(2013/8/3-4)

メンバー:Minapo

 

八月第一週はゴルジュで有名な奥美濃の川浦谷に行ってきました。

川浦谷は「男一人をカオレにやるな」「奥美濃の黒部」などの謳い文句で呼ばれており、奥美濃随一の名渓として関西ゴルジャーにはおなじみの場所とのこと。

 

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今回は、初日は海ノ溝洞ゴルジュ、二日目は本流中流部ゴルジュの予定で、沢を始めて三ヶ月の女性パートナーとトライ。

どちらも難度が高く、沢初心者と行くルートではありませんが、諸々の経緯で男一人、女一人で敗退覚悟の挑戦。

通常より20cm程水量が多いということで、どちらも核心部の突破はなりませんでしたが、結果的には十二分に水と戯れることができ、充実のカオレデビューとなりました。

 

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8/3(土)海ノ溝洞ゴルジュ

夜行バスと電車で朝6時頃に岐阜に到着。そこから車で川浦谷へと向かう。

板取キャンプ場は多くのキャンパーで賑わっており、川浦谷の遊歩道も頻繁に観光客がやってくる。我々はその観光客を横目に、ウェット、雨具、ライジャケを着こんで沢に下降する。

海ノ溝洞ゴルジュは入渓地点の上にある橋の横から入り、最後懸垂下降でゴルジュの中に降りる。降りた地点からすでに流されそうな勢いの水流で、側壁は脱出不可能な高い側壁ということもあり、結構なプレッシャー。

同行者をフォローしながら遡行するが、たまにバランスを崩して水流に流されていくので、一時も油断できない。

 

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幾つか難所を越したところで、くの字型に曲がった瀬が登場。左壁に巻き用の残置があるが、高度感のあるところをバランシーなムーブで抜ける感じなので、右壁をへつって突破を試みる。海ノ溝洞は基本ヌメリ系なので、アクアステルスは尋常じゃなく滑る。このポイントもカムを決めて振り子トラバース気味に突破したが、ヌメリを加味した沢ムーブが求められ、かなり辛い。抜けた後、パートナーをフォローするが、アッという間に水流に落ちて屈曲の向こう側に流されてしまった。

この場合、変な形で決まったら溺れてしまうので、ロープのテンションでヤバいと思い最大まで緩める。テンションが抜けたので大丈夫かと思いコールするが、返事がない。あと数秒反応がなければ、瀬に飛び込んで戻ろうかと思ったが、何とかコールが返ってきたので一安心。一旦体制を整えようとするが、結構消耗した様子。進行方向を見ると、今まで以上にやばそうな小滝が四連続ぐらいで続いており、地獄の様相を呈している。

今回のパーティの実力では、これぐらいが潮時かなと思い、敗退決定。

 

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反省点としては、強い瀬の白泡にのまれる可能性がある場合、流されてリカバリーできるなら、ロープをハーネスにFixしておかないこと。フォロワーが息ができない状況でスタックしたらアウトである。また、お互いの状態が見えない場合は、事前にヤバい状況になった時の対応を事前に確認しておかなければならない。

さらに、厳しいゴルジュ突破は瀞の泳ぎと違ってフォローでのごまかしがあまり効かないので、自分で安全を確保できる実力がなければ、入渓するには早いということである。

かなり厳しいとは思っていたが、今回の海ノ溝洞は想像以上にやばかった。(実際に平水より水量が多いらしく、突破した記録の写真とは明らかに水量が違っていた)

 

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下降は半ば流されながら下るが、白濁した瀬は慎重に巻かないとかなり危険。入渓した懸垂下降地点まで戻るが、登り返しは厳しそうなので、最後の2m滝は飛び込んで流されることに。反転流で溺れるパターンは最大限警戒した上で、この瀬は大丈夫だと思って飛び込んだものの、一瞬下に引き込まれる感じがあったので、もう少し慎重に判断した方が良かったかもしれない。

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後はひたすら流されて、橋の下の河原へ。時間的に余裕があったので、渡渉訓練のメニューを軽くこなす。

その後、明日遡行予定の本流中流部ゴルジュを偵察するが、こちらも尋常じゃない水量…。明日は核心部は回避して遡行した方が無難かもしれない。また、海ノ溝洞ゴルジュも上部の林道から様子を伺ってみるが、底が見えず水流の轟音だけが聞こえてくるのみである。

 

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この時点でまだ二時ぐらいなので、ドライブがてら郡上八幡で観光することに。郡上八幡では子供達(たまにおっさん)が高さ15mの橋からひっきりなしに飛び込んでいる。郡上八幡、夏の風物詩。古い街並みを散策した後、再び川浦谷に戻って就寝。

 

8/4(日)本流中流部ゴルジュ

日曜は本流中流部ゴルジュの遡行。前日に引き続き敗退となるとツラいので、とりあえず核心のヤバいところは巻くこととし、核心上部辺りから遡行を開始する。

 

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ゴルジュのヘツリが終わった後は、終始瀞場の遡行。100m瀞×2をはじめとして、ひたすら泳ぎなので、暑い夏の日には打って付け。但し、時期的にメジロアブが発生し始めており、泳いでいる最中の無防備な状態を狙って奇襲をかけてくるのには閉口させられる。

 

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三時間程の遡行で西ヶ洞出合に到着し、その先から林道へ上がって行動終了。まだ時間に余裕があるので、最初にカットした本流核心のゴルジュに挑戦することにする。

 

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海ノ溝洞の出合付近に下降すると、四人の遡行パーティに遭遇。熟練者もいるようだが、今回は水量が多いということもあり、1.5m滝の手前でずっと様子を伺っている。

この滝は左からへつりで越えるのがセオリーらしいが、万が一スリップしたら強い瀬の白泡にのまれて非常に危険。今回はパートナーをフォローする自信がなかったので、こちらからの突破はあえて敬遠。

よくみると滝の右側から行けそうな気もしたので、スカイフックとマイクロカムを持ってチャレンジ。激流の横、水圧に降られながらしばらくトライしてみるが、ヌメリ系で全く保持ができない。スカイフックも決まらず、唯一の隙間もフレア気味でカムが決まらないので、残念ながら敗退。しばらく水流に揺られていたので、直後は酔った感じが続いた。

 

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時間的にもそろそろ厳しいので、核心トライはここまでとし、水流に流されて林道復帰地点まで戻る。実力とコンディション的にどちらも核心部突破には至らなかったが、沢初めて三ヶ月のパートナーは学ぶことが多かったらしく、良い経験になった様だ。

個人的にも泳ぎの練習と、パーティ内リスク管理の調整ができたので良かった。もう少しゴルジュ突破技術が身に付いたら、再訪してみたい沢である。

 

※Minapo記録はコチラ

 

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