雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

赤石沢北沢

ルート:赤石沢北沢(2017/7/15-17)
メンバー:MK氏、ハッチ


7/15(土)
11:40 赤石沢入渓点-15:30 取水堰堤-16:00 北沢出合C1


7時前に畑薙に到着したがすでに長蛇の列で、椹島行きのバスはまさかの三巡目。
三時間以上、駐車場でだらだらと過ごす。ようやくバスに乗り込んだと思いきや、混雑により途中下車はNGとのことで一旦椹島まで行き、赤石沢入渓点まで歩いて戻る。結局入渓したのは12時ちょっと前。


f:id:PerseidCross:20170715114748j:plain


赤石沢は取水していないとのことなので、以前来た時より水量が多い。前回は水線を突破した淵も巻きが必要だったりと多少時間がかかる。しかし、これが本来の赤石沢の水量であり、これぐらい手応えがある方が遡行しがいがある。


f:id:PerseidCross:20170715125545j:plain


f:id:PerseidCross:20170715143826j:plain


14時頃に先行パーティに出会い、さらにその少し先で下降してきた釣り師パーティに出会う。三連休だけあって、入渓者も多い。取水堰堤を過ぎるとすぐに北沢出合。ここに幕場適地があるので、本日は短いが行動終了。ボリュームたっぷりの牛丼で明日の長時間行動に備える。


7/16(日)
4:50 C1-14:50 登山道-16:20 赤石岳避難小屋 C2


赤石沢の南沢(本流)は中々標高が上がらないが、北沢はどんどん標高を上げていく。最初は巨岩のゴーロ帯で特に難しいところはない。やがて前方に二段二条の滝が現れ、本格的な沢登りが始まる。


f:id:PerseidCross:20170716053839j:plain


この滝の上段はややハング気味だが、なんとか登れそうなので取りついてみる。ハーケンを効かせてハング部分を乗り越えると後はスムーズに滝上まで抜けられる。


f:id:PerseidCross:20170716060047j:plain


この後のスラブ滝は左手からトラバース気味に越え、続く小滝群も快適に登って行く。
滝が左手に曲がるところで、2段20mほどの滝が出てくるので一度取付いてみるが、岩が脆くて危険なので引き返す。左岸の草付きから巻きに入ると獣道で滝の上部に抜けられる。


f:id:PerseidCross:20170716060431j:plain


続く直瀑もなんとか抜けられそうに見えるが、最後が水流が強くて難しいので、また出戻って右岸から巻く。


f:id:PerseidCross:20170716071338j:plain


この先にいよいよ40m大滝を始まりとするゴルジュ帯が出現する。ここは全く手が付けられないので、左岸のルンゼから巻きに入る。


f:id:PerseidCross:20170716072804j:plain


再び沢底に戻るといよいよ雪渓が現れる。この雪渓は滝の落ち口で途切れており、その先は屈曲したゴルジュ状地形で伺いしれない。先に進めるか分からないが、雪渓から飛び降りて滝の左手のスラブ帯に取りつく。


f:id:PerseidCross:20170716090859j:plain


滝は登れず、側壁はズルズル系なので中々手強い。大きく巻き上げらながらもなんとかトラバースラインがつながる。


f:id:PerseidCross:20170716100444j:plain


その先を覗いてみるとまだまだ滝は続いているが、登れそうな滝だったので一安心。ここでダメなら雪渓まで戻って高巻きのやり直しとなるので、二時間以上のロスが発生するところだった。


f:id:PerseidCross:20170716111641j:plain


f:id:PerseidCross:20170716112837j:plain


滝の右壁をハーケンを効かして快適に登り、続く小滝をフリーで直登すると、最後に再び登れない滝。ここは右手のルンゼをロープをだして登るが、またしてもズルズル系でいやらしい。


f:id:PerseidCross:20170716115825j:plain


巻き上がると獣道があるのでそのまま進んでいく。手強かったゴルジュ帯は抜けられたが、今度は行く手に大きな雪渓が広がっている。


f:id:PerseidCross:20170716131543j:plain


雪渓はひたすら歩くだけだが、ピンソールや軽アイゼンなどの装備を用意していなかったので滑る。一度ゴルジュ帯で雪渓が切れるので左岸から巻き、再び長大な雪渓歩き。滑って消耗するので、後半は雪と土のボーダーラインを選んで登る。


f:id:PerseidCross:20170716143529j:plain


雪渓は赤石岳の山頂まで繋がっているが、最後は急登且ついつ崩落するか分からない薄い雪渓なので、登山道側に抜けて行動終了。


f:id:PerseidCross:20170716144634j:plain


ちょうどこのタイミングで雨が降ってきてどうするか悩んだが、折角なので赤石岳山頂を目指すことにする。一時間半程度のハイクアップで赤石岳避難小屋へ。赤石岳の稜線は強風でかなり消耗させられたが、小屋に入って一安心。

避難小屋にはフレンドリーな山屋が多く、ただ座っているだけで美味しそうなご飯を色々頂いてしまった。小屋の管理人さんは名物主人らしく、喋りも面白い。赤石沢北沢なんて面白くないと言うのに引っかかったが、遡行したことはないらしい…。


f:id:PerseidCross:20170717052429j:plain


7/17(月)
5:20 C2-8:40 椹島


この日も朝からガス&強風。九時頃には晴れるらしいが、残念ながらそこまで待つ余裕はない。再び展望ゼロの赤石岳に登頂し、後はひたすら下るのみ。約三時間程度の行動で椹島に到着すると、案の定快晴。赤石の山頂では絶景が広がっているに違いない。
バスの待ち時間を利用してシャワーを浴び、お昼前に駐車場に到着。長い林道をひた走って昨年と同様、さわやかで打ち上げ。帰りの高速はひどい渋滞だったので、御殿場から道志道経由で圏央道に入り、結局夕方近くに帰京した。


<まとめ>
赤石沢の本流は言うまでもなくクラシックな名ルートだが、北沢は山岳会的な人種が好むルートで、本流よりも沢登りをやった感は強い。今回は情報もほとんど仕入れない状態で行ったが、中盤のゴルジュ帯は突っ込んでみないと抜けられるのか分からず、結局ギリギリのところで抜けられるという展開で、沢登りの駆け引きが存分に楽しめた。やはり記録に頼らず、頭を使って色々と駆け引きをやって登る山が一番面白い。