雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

GW知床スキーツアー①

GW知床スキーツアー(2017/4/29~5/7)
メンバー:Minapoさん


GWは北海道の知床へ。全九日間のうち、入山は六日間。序盤でまさかのトラブルに見舞われるも、全体的に天気にも恵まれ、知西別岳羅臼岳~サシルイ岳~知円別岳、海別岳、斜里岳に登頂することができました。

ちなみに今回、ドローンを入手して山で飛ばしてみましたが、山の魅力を伝える一つの優れたアプローチだなというのを再認識させられました。撮影や編集スキルはまだまだですが、本ツアーのまとめ動画も作成してみましたので、よろしければご覧ください。

 

知床連山スキー 2017 GW; Shiretoko Range in Aerial, late spring 2017 from HRMT on Vimeo.


4/29 移動日
羽田から飛行機で女満別へ。レンタカーで能取岬能取湖サロマ湖を散策した後、網走泊。網走周辺は関東だと名の知れた景勝地になりそうな水芭蕉の群生が至る所に見受けられるが、地元の方は潮干狩りの方に関心がある様で正に花より団子。北海道の開放的な雰囲気を存分に満喫して、明日からの登山に備える。


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4/30 知西別岳
10:30 登山口-11:10 羅臼湖-12:50 知西別岳-15:00 登山口

網走から知床はウトロを目指して早朝ドライブ。海岸線の向こうに浮かび上がる知床連山の姿が神々しい。オシンコシンの滝を見学した後、ウトロの道の駅へ。本日は現地の知り合いの管さんと行動を共にすることになったので、ここで合流してゲートへと向かう。
知床横断道路はGW連休に入るタイミングでオープンするが、開通可能時間は10時~15時半。オープン直前になると、ゲート前に長蛇の列ができる。今回はまだクマスプレーを入手していなかったので、ゲート前の知床自然センターでレンタルすることに。レンタル料は一日1000円、使用した場合は10000円とのこと。
知床エリアの山スキーは三月までが適期の様で、GWに下から登山すると藪漕ぎに難儀するらしい。但し、知床峠(標高738m)や根北峠(標高487m)からのスタートであれば、最初から雪の上を歩けるのでGWでも人気があり、知床横断道路からのアプローチだと、夏は登山道のない羅臼岳への南西ルンゼからの登頂や、羅臼湖経由の知西別岳登頂がメジャーの様だ。


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この日の入山者も多く、知床峠には多くの登山者の姿。羅臼湖方面にも続々と山スキーヤーが出発していく。ゲート内では5時間半のタイム制限があるので、こちらも急いで準備して出発。登山口から羅臼湖まではゆるやかな地形を軽く上り下りしながら進んで行く。


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羅臼湖は氷結が溶け始めているので警戒して北側から巻いたが、後から来たボーダーの方がツボ足でド真ん中を突っ切っていたので、意外と大丈夫らしい。その後すぐに川が横断しているので、先行パーティは右手から大きく巻いていたが、近づいてみると渡渉ポイントがあり、結果的にまっすぐ進むことができた。周囲にはヒグマの足跡が多く、ただよう風も若干獣臭い。


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川を過ぎると、後は知西別岳の稜線まで沢型をひたすら詰めていく。上部はやや急斜面になっているが、雪もゆるんでおりなんとかシールで登れる程度。稜線に出てからハイマツ地帯を少し過ぎると、やがて知西別岳の山頂に到着する。稜線の向こう側には遠音別岳が裾野を広げて鎮座している。


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山頂は強風でゆっくりしていられないので、早々に下山開始。ハイマツ帯を下部からやり過ごした後、先ほどのルンゼを羅臼湖を眼下に快適に飛ばす。今回はじっくり撮影をしながらだったが、その気になれば山頂からノンストップで羅臼湖まで来られそう。
帰りは羅臼湖の上を歩いてみたが、雪が切れているところは普通に水が出ており、黒部湖横断の感覚からするとやはり不安…。そもそもシールが濡れるので、スリルを楽しみたい人以外はやはり巻いた方が無難。


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15時に下山してウトロ側に戻り管さんと別れるが、この直後に知床横断道路が雪崩れて通行不能になり、この後数日間(5/1~4)通り抜け不能に…。タイミング的に下手したら喰らっていたかもしれない。幸い負傷者はいないとのことだが、この時期にこの道路を開通することの難しさを実感させられた。


5/1 岩尾別温泉~極楽平
7:50 岩尾別温泉-12:00 極楽平-13:20 岩尾別温泉

前日の雪崩の為、知床峠からの縦走が不可能なので、急遽海岸側から羅臼岳を登ることとして、ウトロ側の登山口である岩尾別温泉に向かう。ここは山スキー百山にも紹介されているルートだが、序盤の尾根沿いの登山道はしばらく担ぎで登ることとなる。担いだ板に枝が引っかかりちょっと厄介。ようやくシールが使えるようになったと思っても、複雑な地形とハイマツであまり快適には登れない。


また、寒気が入っている為か、知床連山の稜線はぶ厚い雲に覆われており、途中で完全に登頂意欲を消失。極楽平で行動打ち切りとして、下山することとする。


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下山は登路のスキーヤーズライトの沢を下るが、ここもヒグマの痕跡が多い。狭い沢だが序盤はそこそこ快適。しかし後半は小石の地雷原で、最終的には雪がなくなり完全に沢下り…。泥壁をダブルアックスで下降したりしながら沢沿いを進むと、右岸に踏み跡らしきものが現れ、なんとか無事に岩尾別温泉まで戻ることができた。


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山行の内容的には残念だったが、後半かなりのアドベンチャーで、知床の自然を存分に体感できた。しかし今回の主目的である知床連山の稜線がまた少し遠くなった気がする。
早めの下山で時間も余っているので、まずは知床五湖を散策。ヒグマへの注意勧告があるので、事前のレクチャーがやけに丁寧。この時期は雪の影響で半周しかできないが、整備された木道からは素敵な景観を楽しめる。知床連山を一望できる展望が売りとのことだが、相変わらず稜線は厚い雲で覆われている。続いて、フレペの滝(乙女の涙)を散策。上からはわずかな染み出ししか見れなかったが、海から見るとまた違って見えるらしい。


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最後に知床観光の締めとして、知床自然センターの映画館並みの大型スクリーンで「四季知床」を鑑賞。空撮を多用した迫力のある映像に刺激されてモチベーションも徐々に回復。なんとしても縦走してやろうという気になったので、立ち寄ってよかった。但し翌日も悪天予報なので、一旦斜里まで撤退して、明後日からの行動に備えることとする。


5/2 休養日
昼過ぎまで天気が悪いので休養。午前中は網走の民俗資料館で時間を過ごし、午後は芝桜公園、屈斜路湖、硫黄山摩周湖などをめぐる。この日を挟んで二日間、斜里のクリオネキャンプ場のゲストハウスで過ごしたが、相部屋ではあるものの、宿泊費1500円で風呂付き、炊事スペース利用可でなかなか快適であった。ライダーは勿論、登山者や海外からの利用客も多い。

斜里の街にはやたら海産物が充実したスーパーがあるので、ここで魚を仕入れて、あら汁やらムニエルやらを作る。ちなみに斜里には坂本ホーマというホームセンターがあるが、アウトドアコーナーには飛行機で運べないガス缶を始め、ジェットボイルやシュラフなど各種アウトドアギアが完備されており驚いた。今回は空港横のレンタカー屋でガス缶を購入したが、次回からはここへ立ち寄りたい。


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(②に続く)