雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

一ノ倉沢本谷&マチガ沢東南稜

今年は残雪が少なく一ノ倉沢本谷下部も狙い目ということで、会山行として谷川集中を企画。天気予報があまりよくなく、直前に何名かはキャンセルしたが、それでも二十名程度のメンバーが集まり、各方面のルートを普段組まないメンバー同士の交流も兼ねながらトレースした。


ルート:谷川岳 一ノ倉沢本谷下部(2016/10/1)
メンバー:会のメンバー3名


10/1(土)
9:15 一ノ倉沢出合-10:15 テールリッジ取付横-11:25 幻の大滝-15:00 南稜テラス-17:40 一ノ倉沢出合


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午前中は雨だが、午後から回復する予報だったので、時間を遅らせて行動開始。雨もそこまで強くなく、ガスも薄いので問題なさそうだ。


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今回は本谷の遡行なので、一ノ倉沢出合からひたすら本谷沿いに進んでいく。テールリッジ取付あたりまでは概ね問題ないが、岩が濡れていて滑りやすいので、安全の為に一度ロープも出した。


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ここから沢は左に折れて、登れない7m滝が現れるので右岸から高巻く。一見簡単そうに見えるが、浮石が多くスタンスがいまいち安定しないので、途中からロープを出して落ち口までトラバース。


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沢が右に折れると大スラブ帯が前方に広がり、圧巻の光景の中、グイグイと高度を上げていく。ロケーション的には本谷下部のハイライト。


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二ノ沢を左に分けると、すぐにゴルジュ状地形となり、いよいよ数年ぶりに露出した幻の大滝とご対面。しかも今回は雪塊が皆無なので、かなりレアなシチュエーションだと思われる。


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幻の大滝は左壁のクラック状を斜上するが、見た目の容易さに反して意外と変則的なムーブを求められる。他パーティもいないのでじっくり登ったが、ここは落石が集中するポイントでもあるので、あまり長居をしない方がいいかもしれない。


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そのまま上部の9m滝も右岸から巻いて、再び大スラブ帯の前に降り立つ。晴れてればフリクションを効かして快適に登れそうだが、濡れているといまいちグリップが信用ならない。落ちたらかなりの距離を滑り落ちることになるので、ロープ1Pでスラブを斜上して右壁側に取り付く。


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ここからはホールドも豊富なので、フリーでどんどん登って行けるが、この辺から濃いガスに巻かれて視界不良。本谷バンドを探しなら登るが、周りが見えないこともあり、正規のラインの少し下から南稜テラスに向けたトラバースを行ってしまった。辿り付いた先はただの藪尾根だったので、少し藪を登って無事に南稜テラス到着。


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ここからの下山も視界不良&濡れた岩ということもあり、ロープを多用したので結構時間がかかってしまった。やや想定外のこともあったが、何とかヘッデンを使う前に出合に戻ることができた。
今回は集中山行でもあるので、この後は仲間と合流して遅くまで宴会。


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ルート:谷川岳 マチガ沢東南稜(2016/10/2)
メンバー:会のメンバー3名


10/2(日)
5:50 マチガ沢出合-6:50 マチガ沢入渓-10:00 東南稜取付-14:15 オキの耳-17:00 西黒尾根登山口


この日は前日よりもマシな予報だが、その分他パーティも多いので東南稜の渋滞が怖い。宴会でグロッキーなメンバーを急かして行動開始。


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まずは厳剛新道を第1見晴台まで進み、ここからマチガ沢に入渓。序盤は概ねゴーロ帯だが、ゴルジュ地形に入ってからの滝場は最初の滝でロープを出した以外はフリーでガンガン登って行ける。


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今回、沢登りが初めてのメンバーもいたが、クライミングに強いので借り物のフェルト靴でも危なげなく登っていた。早速、沢登りの楽しさを感じてくれている様だが、ここまで気持ちよく登らせてくれる沢は他にあまりないかも…。


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二俣を水量の少ない右俣へ進み、濃いガスの中、地味なルーファイを行いながら幾つかの滝をフリーで越えていくと、思ったよりも早く東南稜の取付きに到着。ちょうど先行パーティが登りの準備を始めたところだったので、しばらくここで待機する。


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1P目は一見難しくなさそうだが、凹角から抜けるところがドロドロのグチャグチャでかなり悪い。今回初沢登りのメンバーがリードで抜けられたのはお見事。


2P目は自分がリード。右のクラック沿いを登るが、上部で先行パーティとクロスしそうだったので、一旦バンドを右側にトラバースしてから、折り返す様に岩間の急な草付きルンゼを斜上。あまりよいホールドがなく、引いてるロープも異常に重いので、苦戦している内に左手のピッチを切るのによさそうなテラスを見送ってしまい、少々やばいラインへ入ってしまう。先にハーケンがあるのでルートかと思っていたが、よく見るとカラビナもかかっているので敗退支点の様な気もする。後続は見送ったテラスでビレイを取ってもらい、全員登り切った後、そちらに自分も戻る。


ルーファイすると、このテラスからリッジ状を登る方が明らかに楽そう。ここのセクションを登っている間にも、続々と後続パーティが下から取りついており、かなりの渋滞となっていることが予想される。結局、この後は落ちたらやばいので念の為にロープを出すが、ルート的に難しいわけではないという感じだったので、サクサクと進む。


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この日は終始ガスがかかっていたが、ガスの切れ間に国境稜線からこちらの様子が見えるらしく、多くのギャラリーの注目の的になってしまった。大勢の声にかき消されてコールが聞こえない(汗)。最後はロープをしまって、わずかな登りでオキの耳へ。
山頂でギアを整理した後、本日閉山日を迎えた谷川岳を後にして、紅葉の始まりかけている西黒尾根を下山した。


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