雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

赤谷川本谷

ルート:赤谷川本谷(2016/9/10-11)
メンバー:Minapoさん


学生の頃、沢登りを始めてすぐに先輩からヤバいところと教えられた赤谷川本谷のドウドウセン。今までなんとなく行く機会に恵まれなかったが、今回Minapo氏の谷川デビューを兼ねて、トライすることにした。
結果的には水量が多く、ドウドウセン核心のG滝を越えた後は攻められなかったが、楽で合理的なドウドウセン見物ルートをトレースすることができた。
また、マワットのセンや裏越のセンの登攀だけでも十分楽しめ、フィナーレの癒し渓も含めて、噂通り完成度の高い名渓だった。


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9/10(土)
4:50 川古温泉-7:00 渡渉地点(入渓)-7:50 マワットのセン 8:15-9:25 裏越のセン 11:00-12:00 ドウドウセン 15:30-17:30 C1


前日に関西から来たパートナーをピックアップして川古温泉へ。
初日は長時間行動なので朝も早いが、最初の林道歩きでパートナーは半分寝ながら歩いていた。
途中で仮眠を取りつつ約二時間で渡渉地点へ。ここから赤谷川本谷の遡行となる。


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すぐにマワット下のセンが現れるがどうにも水量が多い。とりあえず左壁にフリーで取りつくが結構ヌメる。中段のテラスの先でワンポイントいやらしいトラバースがあるので、念の為ロープを出して1Pで落ち口へ。照りつける朝日がまぶしい。


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続くマワットのセンは右壁から取りつく。バンドをトラバースしてから落ち口に向かって斜上し、最後はフリクションのよく効くスラブを登って抜ける。


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ここからしばし巨岩帯で沢中を進むと結構時間がかかりそうだが、左を巻き気味に進んでいくと容易に突破できた。
裏越のセンはただでさえ威圧的な景観だが、今日は大水量でその迫力に拍車がかかっている。


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右壁バンドから取りつくラインは流心を渡渉できるか怪しかったが、ダメなら引き返すということで、とりあえず取りついてみる。
草付きバンドをトラバースの後、少しクライムダウンして下段の落ち口へ。水量は多いが、なんとか渡渉はできそうだ。


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カムでしっかり支点を取り、脈打つヒョングリの下でいざ渡渉!水飛沫の壁を越え、対岸の岩に飛び移る。素晴らしい爽快感で思わず笑みがこぼれる。パートナーも虹のアーチを潜り抜けて無事に渡渉成功。
ここから上はできれば水線に近いラインを取りたかったが、とても取りつける状態ではなかったので、右岸の藪の中を登って落ち口へ抜ける。


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いくつか小滝を越えると一見登れなさそうな滝が出てくるが、近づいてみると右壁が登れそう。ここはドウドウセンの前衛滝らしく、滝上を左に曲がるといよいよドウドウセンのG滝45mがその姿を現す。


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G滝は右壁を斜上気味に登り、3Pで上部の藪へと入る。緊張感のある草付きだが、最近入ったパーティの踏み後らしきものがあり、ルーファイは容易だった。


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F滝上で一旦沢底に近づいてみるが、大水量のトイ状廊下はとても近づける雰囲気ではないので、おとなしく左岸を巻き進む。この後、沢を渡渉して右岸に入り、岬経由で進むのがセオリーらしいが、巻くのであればそのまま左岸を進めばよさそうな地形に見える。増水により沢中は進めそうになく、渡渉する意味も特に見いだせないので、そのまま左岸の藪を前進。


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どこかで降りれそうなところがないかチェックしながら進んでいくと、なんと前方に平穏な河原が見える。ドウドウセン…こんなにあっさり終わってしまうなんて…。せめて少しでも登っておきたいと思い、枝尾根を降りて有名なB滝上の出口のない釜のしきりに降り立つ。
A滝左壁のリッジを登ってあっという間にドウドウセン終了。増水の為、中盤の滝に取りつけず無念だったが、左岸巻きオンリーで容易に越せることが分かったのはせめてもの成果か。


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ドウドウセン上は最高の幕場適地があるが、時間も早いので先に進む。
悪めの滝を一つ右岸の草付きから越えると、フラットな河原が延々と続く。


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薪を拾い集めながら、簡単なゴルジュを幾つか越え、万太郎山から入る右岸の枝沢の付近で幕営とする。


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9/11(日)
8:30 C1-9:50 国境稜線-15:15 川古温泉


二日目は下山するだけなので、ゆっくり寝て遅めのスタート。
下山のことを考えると万太郎山方面の枝沢に入った方が楽だが、癒しの渓相をまったりと楽しむのもまた良し。


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最後は少し藪を漕いで、オジカ沢ノ頭の下で国境稜線に抜ける。
ここからは国境稜線を万太郎山の先まで進み、やや荒れた登山道を下って入渓した渡渉点へ。


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来るときも思ったが、周囲の山肌には赤谷川本谷の比ではない程の悪渓が犇めいており、これらの沢は登られているのか少し気になった。
後はゆっくりと林道を歩いて川古温泉へと下山。猿ヶ京温泉で汗を流して帰京。


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やや消化不良感はあったが、パートナーも谷川エリアの魅力を知ってくれた様で一安心。また機会があれば訪れたい。