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雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

深遠なる一ノ倉本谷

sawa

ルート:谷川岳 一ノ倉沢四ルンゼ(2014/10/18-19) 
メンバー:KMさん、ASさん

 

10/18(土)

谷川岳登山指導センターに計画書を提出して、6時頃に一ノ倉出合に到着。ガチャの用意をしていると、見知った顔の方も何名か。朝焼けに染まる一ノ倉の岩壁が神々しい。

 

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四ルンぜは日帰りルートだが、今回は行動スピードに不安の残るA子さんも一緒なので、最初から稜線の避難小屋で一泊する計画。個人的には一ノ倉の地形把握に努めたいという思いもあるので、周囲を観察しながらまったりルンぜ登攀を楽しむこととする。

 

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テールリッジの取り付きまでは沢沿いを問題なく進む。ヒョングリ滝は今まで見たこともないほどの弱々しさで、もはやヒョングってない。一部難しい場所もあるが、残置ロープを使えば問題なし。

 

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雪の少ない年であればこのまま本谷下部を遡行して、運が良ければ「幻の大滝」なんかも拝みたいところだが、今年はまだまだ雪渓が多く残っており、通常は消えているはずの雪塊群も大量に堆積している。この様な状況では幻の大滝登攀など当然望むべくもなく、テールリッジから本谷バンドを経由して、四ルンぜの出合へと向かう。

 

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比較的遅めのスタートだがあまり人影はなく、中央稜、凹状、南稜に各一パーティずつ取り付き始めたところ。雲一つないドピーカンで、テールリッジを登りきる頃には上着を脱ぎたいぐらいの気温。

 

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南稜テラスからのトラバースはFIXロープもあるが、落ちたらアウトな崖なので念の為ロープを出して本谷へ。この辺は過去の崩壊による落岩が一帯に堆積している。

 

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まずはF滝の登攀。一見簡単そうだがロープを出して左壁を登る。上部は沢っぽい草付きとなっているが、フォローのA子さんが途中で大ハマり。フリー専門だと沢っぽい登りは苦手の様だ。
さっそくぶーたれていたので、日本で登っている限りジャルパインの魔の手からは逃れられないよ、などと適当な発破をかけてあげる。

 

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そこから先はちょっと難しいCS滝が連続して現れる。場合によってはロープを出し、カムを決めながら登る。ツッパリやCS抱え込みなど、沢特有のムーブを色々駆使して登るのが楽しい。

 

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核心のF4滝(20m大滝)は一見ルンぜ筋を直登できそうだが、抜けた後を考えると右壁を直登するのが正解。上部で落ち口へ向かって左方向にトラバースするポイントが高度感抜群だが、残置もしっかりあるので比較的安心。

 

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この上も狭いルンぜが続き、右岸スラブでの巻きを交えながら快調に登っていく。足回りもラバーソールの沢靴で充分な感じ。但し、記録によるとたまに落石もあるらしいので頭上には要注意。

 

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奥壁大スラブが頭上に迫る頃、最後の小滝に差し掛かる。側壁の巻きがちょっといやらしいので頑張って水線通しで突破。しかしラストのA子さんが中々登ってこない。

沢慣れしていないので、ヌメるCS滝の登りに大分苦戦しているようだ。しかも冷たい流水が容赦なく手の感覚や体温を奪っていくので、最後の方はべそをかきながら登ってきた。あまりにもツラそうなので、レイヤードの切り替えを促してしばし休憩。

 

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本谷のツメは右手尾根に向かって伸びている源頭チックな沢沿いを進む。登りやすいが、斜度が出てくると高度感と相まって多少緊張する。

一ノ倉の尾根に飛び出した後は、踏み跡を辿って一ノ倉岳の山頂へ。黄昏時の幻想的な稜線を辿って、登山客で賑わう茂倉の避難小屋に駆け込んだ。

 

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10/19(日)

翌日は下山するだけの簡単なお仕事だが、せっかくなので幽ノ沢の偵察も兼ねて上級者向け登山道とされている中芝新道を下ることにする。

茂倉岳の山頂では谷川岳の向こうから登る日の出に迎えられ、なんとも清々しい。

 

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中芝新道の上部はかなり滑りやすく、みな何度か転びながら下りる。中間部では幽ノ沢各ルートの上部がチェックできて今後の参考になった。

アルパインは勿論の事、厳冬期の雪壁・雪稜、場合によってはClimb&Ride…と妄想はどこまでも膨らむが、やはりそこは日本でも一級の山岳エリア、敷居は高く軽々しく口にするのも憚られる。

 

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しかし谷川岳東面は、例によって三浦御大(2006 谷川岳東面 Climb&Ride)を始めとする意欲的なアルピニストの方々が色々と面白いラインを繋げられているので、興味は尽きないところ。マチガ沢滑降 はまだそのスタートラインといった感じであろうか。

 

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林道に出た後は幽ノ沢下部を少し遡行して見学した後、ハイカーの賑わいに紛れて下山。今回もMK氏のおかげで有意義な山行となりました。

 

<雑感>
一ノ倉沢四ルンゼは沢と岩の融合点とも言うべき素晴らしいルートであった。チャレアルでは興味度低めだが、これは登る人の感受性に依るものも大きいであろう。サワヤ的にはかなり楽しめる一本で、本流遡行ならではの一筋に凝縮された谷の内面・本質ともいうべきものに触れあうことができたのは至福であった。

一ノ倉に多少なりとも興味のある人は、この谷の理解を深める為にも一度は登っておいて損のないルートであろう。但し今回、リアル一ノ倉の前半部である本谷下部はテールリッジ経由で巻いているので、こちらはまた寡雪の年の課題という事で…。