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雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

月山 秀渓探訪

sawa

ルート:月山 角川左俣~赤沢川
メンバー:KSさん、AKさん


地域研究企画で月山の沢へ。月山は登山大系にも取り上げられておらず、調査しても記録の出てこない沢が多くある。これはもしかしたら、世に出ていない名渓が隠れているのではという淡い期待を胸に、都合三パーティで現地へ。


9/13(土)
11:25 今神温泉-14:00 高倉山-16:20 角川左俣660m付近 C1

肘折の登山口に車をデポし、もう一台の車で今神温泉の登山口へ。今神温泉はかつては念仏温泉とも呼ばれ、少し調べるとカルチャーショックを受ける様な内容の記事が幾つか出てくる。今は休業中とのことで、興味本位で少し建物をのぞいてみると中から人が…。少々びっくりしたが、お話をすると普通のおじさんで拍子抜け。この辺はマムシが出るから気をつけなさいねとの忠告を頂く。


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登山口から少しの登ると今熊野神社奥の院でもある御池に到着。切り立った今熊山と相まってなんとも神秘的な景観。ここから高倉山まではひたすら尾根沿いに標高を上げていくが、思った以上に道がしっかりと付いており、二時間半程度で山頂に到達する。


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高倉山山頂は一通り刈り払われており、尾花沢方面の展望が素晴らしい。但し、ここから先は完全に藪漕ぎの世界。高倉山をぐるっと回り込んでいる角川左俣の源流部目指して下降する。強烈な藪を抜けて沢床に下りるが、草木が生い茂っており、あまりすっきりとしない渓相。たまに出てくる段差をクライムダウンや懸垂下降でクリアするが、終始渓相はパッとせず、早速スカ沢の文字が頭に浮かぶ。

グダグダ下っている間にいい時間になったので、標高660m付近で幕営。一時的に雨に降られたが、なんとか焚火に成功。衣服を乾かしながら、明日の作戦会議。

9/14(日)
6:15 C1-8:25 鳥形山南東コル-9:20 赤沢川(荷物デポして下降)-11:10 700m付近滝マーク(上流側)-11:50 デポ地点-16:15 登山道 C2

当初の予定では浄ノ滝の上を経由して別の枝沢を遡行する予定だったが、初日の行動の遅れであまり余裕がないのと、渓相に期待が持てないのとで、結局早々に赤沢川へ向かうことにする。

鳥形山南東のコルに向かって沢型を詰めるが、相変わらずパッとしない渓相。藪にうんざりしながら稜線の乗っ越し、沢型を赤沢川に向かって下降する。こちらは少しナメ床もあり、角川方面の渓相と比べると幾分か明るさを感じる。時折出てくる小滝を懸垂下降で下り、出発から三時間程度で赤沢川に降り立つ。


赤沢川は地形図で見ると終始崖マークの付けられた沢で、場合によっては険悪なゴルジュが出てくるのではと思っていたが、実際に沢床に立ってみると河原が広がっており、かなり癒し渓でイメージと違う。
事前に入手した記録では、下部ゴルジュで容易に登れない大滝が出てきて敗退したとあったので、少し下ればゴルジュになるのでは、という期待と共に、荷物をデポして空身で下降してみる。


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少し下ると確かに両岸はスラブが広がってくるのだが、沢幅が結構あるのであまりゴルジュという感じではない。地形図上では標高700m付近に滝マークが二つあり、ここまで来ればそれなりのものは見られるのでは…と思っていたが、結局出てきたのはミニゴルジュの中を流れる小滝。これは記号化されないだろうという感じではあるが、GPSではすでに一つ目の滝マークを過ぎており、下流を見ても癒し系の河原が広がっている。果たしていつ大滝が出てくるのだろうか。

もう少し下っても良かったのだが、このミニゴルジュを下降するのがちょっと面倒そうだったので、ここで調査は打ち切り。デポ地点に戻る。
この調子だと残りの遡行も楽勝だなと思い、大休止してから遡行を再開するが、いきなり登れない小滝に行く手を阻まれる。これはもしや油断させておいて急に牙をむくパターンか。右岸を巻きながら、これからの遡行に胸を躍らせる。


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懸垂で沢床に復帰すると、登れない小滝の上は完全なゴルジュ帯となっており、少々テクニカルな登りを要求されながらの楽しい遡行となる。やはり沢はこうでなくっちゃ。しかしすぐにゴルジュは終わり、再び元のスラブ壁に挟まれた河原に戻る。


ちょっとがっかりだが、地形図上ではこの先に滝マークがあるので、きっとまた素敵なゴルジュが出てくるはずと一縷の望みをかけて遡行を続けるが、一向に渓相は変わらない。気付いたらなんと滝マークを通り過ぎており、一同?マーク。結局この沢に記載された滝マークの内、二つは記載ミスということが発覚した。


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このままダラダラと終わるのかと半分諦め気味に歩いていると、終盤で再び小滝が出てくる。一ヶ所、直登は厳しいと思われる小滝が出てくるが、側壁はどちらも容易に巻けるような感じではない。ダメ元で取り付いてみると、絶妙なヘツリでなんとか抜けられた。後続はあーあ行っちゃったという様な顔で、しぶしぶ続く。


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最後、間違って本流を進み過ぎ、直登の厳しそうな滝に遭遇するが、GPSを見てミスしたのに気付き戻る。最後は左手の枝沢を詰めるのが正解。ナメ床を踏みしめながら、ようやく肘折の登山道へ。本日はここで幕営とする。

9/15(月)
6:20 C2-8:20 登山道


この日は登山道を下るだけ。二時間程度の下りで車をデポしていた肘折の登山口に到着する。あまり人が来なさそうな登山道だが、かなり手入れされており、非常に歩きやすかった。

まだまだ時間に余裕があるので、アフターで浄ノ滝を見に行くことにする。
角川沿いの林道をかなり奥まで入ると、トイレ完備の立派な駐車場に到着。ここから浄ノ滝までは数十分程度のハイキング。


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浄ノ滝は側壁が角の様に反り立っており、中々の奇観。しかし滝自体は寝ており、容易に登れそうな感じ。近づいてみると残置ハーケンも幾つかある。
折角なので少し登ってみることに。滝の中段テラスから1Pで、比較的簡単に落ち口まで抜けられた。滝の上部は右に直角に折れて深い切れ込みのゴルジュとなる。
ゴルジュ内部には三つの滝がかかっているのが見える。一段目は簡単に登れそうだが、二段目と三段目は遠目では厳しそう。一段目を登ると下降が面倒そうなので、調査遡行はここまで。懸垂下降で滝下に戻り、再び数十分のハイクで駐車場へと戻る。


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他パーティも無事に下山した様なので、道の駅で合流。他パーティも色々と想定外な感じのことがあった様子だが、話は追々。三連休の最終日だったが、高速も特に渋滞することなく、スムーズに帰京できた。

<まとめ>
浄ノ滝は確かに素晴らしい景観だが、その上流部は凡庸。滝が素晴らしくても、その上流が同様に魅力的であるとは限らない。
赤沢川は三つある滝マークのうち、二つは滝が無かった。某会が敗退した大滝までは下降で達せず。
中流部で登れない小滝と楽しめるゴルジュ帯が一瞬出てくるが、それ以外は河原歩きに終始するので、遡行対象足りえるかは微妙なライン。地形図を見ると確かに崖マークは凄いが、当然ながらそれが魅力的なゴルジュである保証はないので、事前に沢幅や標高差なども確認しておいた方がよいかもしれない。


今回の地域研究は残念ながらスカった感じが強い。このご時世、記録がでていない理由を考えるとある程度お察しではあるのだが…。

記録がない場合は、①非公表の記録にはあるけど我々の目に触れない、②知る人は知っているが当たり前すぎて記録に残してない、③記録に残す価値がない、④正真正銘の未踏地、に分類されるとの指摘を頂いたが、今回は①と③に相当する内容だったのであろう。スカ沢は覚悟の上とはいえ、少々安易な計画だったので口惜しさが残る。


今後、記録の出てこない沢に狙いを定めるにあたって、どうすれば秀渓を引き当てやすくなるかという議論ができつつあるので、今回の山行を今後の秀渓探訪の糧としていきたい。