雪中松柏 愈青々

徒然なる山の備忘録 

GW剱岳 早月尾根

5/3(木) 曇りのち雨

馬場島11:00-17:10 早月小屋/C1

 

夜行バスで富山に到着。連休後半初日ということもあり、渋滞にハマって二時間遅れでの到着。駅前のミスドでミーティング。事前の予報では今日の天気が悪く、馬場島に一停してから入山かと思いきや、明日の方が悪そうなので、本日入山することにする。

上市まで電車、そこからタクシーで馬場島まで8,000 円。タクシーの運ちゃんによると、今年の雪は大分少ないそうだ。

馬場島では青空の下、剱の峰々をバックに桜と新緑が広がり、ともて心地よい。『試練と憧れ』の石碑を横目に、早月尾根を登っていく。徐々に眼前に現れる北方稜線を望みながら、今後の計画にも胸を膨らませる。松木平では、右手に出てくる目印を辿っていると、二回ほど道路に下山させられそうになるので注意。

中間地点でガスが濃くなり雨も降りだすが、そこまで荒れずに6 時間程で早月小屋に到着。テントに入ると徐々に雨脚も強まる。

たまにdocomoの電波が入ることがあるので、ヤマテンをチェックすると、やはり明日の天気は悪そう。

起床以後の判断基準を決めて、早々に就寝。

 

5/4(金) 雨のち雪

早月小屋C1/C2(停滞)

 

天候好転の可能性を考え、3:00 起床、日の出とともに出動できる態勢を取る。が、明るくなっても外は霧で次第に雨。天気予報も雨予想のため停滞を決め込む。昨日頑張ったご褒美に、今日はゆっくり休養。

 

5/5(土) ガスのち時々晴間、夕方曇り(強風)

C2 4:10-11:20 剱山頂11:40-14:00 平蔵のコル-16:30 剱山荘-17:00 剱沢BC/C3

 

2時起床。前日たっぷり休養をとったおかげと、今日への期待で爽やかな目覚めをむかえる。朝から晴れていたらいいな、という期待はあっさり裏切られて、ややガスの出ている中、ギア類を装着して準備完了。天候が崩れる予報のため、当初の計画を変更して、下山は平蔵谷を下り、剱沢へ登り返す計画。

4時10分出発。周りのテントはやっと活動を始めたころだったが、長い一日が待っている我々は一番に出発。視界すっきりとはいかないけれども、10時くらいには晴れるという予報を信じて歩き出す。

昨日、何組かが頂上までピストンしていたが、その後の雪と風でトレースはほとんど消えていた。GWだというのに、新しく積もった雪がモナカになっていた。次第に明るくなってはくるが、期待の太陽はまだ顔を見せてくれない。周りの景色はあまり見えないけれど、順調に高度を上げていく。たまにキリが晴れて、左右の尾根が見えてくる。

 

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2600m 付近のところの急な登りで初めてロープを出す。リーダーに張ってもらったFIXロープを皆が登っている時に、後ろからコンテで歩いてきたガイドパーティ出現。あっさりと抜かされ、ものすごいスピードで歩いていく。「ラッセルありがとうございます~、これからトレースつけて行きますね」と爽やかに去っていった。よくみたらガイドの花谷さんだった。前職で少し顔見知りになっていたので、遅ればせながら挨拶する。

シシ頭の手前くらいで、キリが晴れる。富山湾まで大展望。でも、ちょうど、切り立ったリッジを通過するところだったので、この高度感はいらないかも…。

我々がリッジとその手前の下降の2ピッチロープを出しているうちに、花谷さんパーティが帰ってきた。頂上直下のカニのハサミのルンゼでは、スリップしたら数百m滑のおそれ有とのリーダー判断でロープを出す。その間に、更に数パーティーに追い抜かれる。

11:20 山頂 視界はほとんどないけれど、雪に埋もれた祠のあたりで記念写真。

強風のため他のパーティがさっさと立ち去る中、たっぷり山頂を味わったあと下山開始。

 

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慎重に地図を確認しながら平蔵のコルに向けて歩き出す。急坂を下ったあたりで、一気に空が晴れてきた!ああ、これが山頂にいるときだったら…といいながらも撮影大会。一気に春山JOYの気分になっているところでA久Pからの定時交信が入った。長次郎谷は雪崩の危険有との判断で、別山尾根にエスケープしたとの情報。肝に銘じながら、道を進む。カニの縦バイ、ヨコバイでは鎖にセルフをとりながら慎重に。

平蔵のコルで、雪質チェックを実施。何層かあり、やわらかめの層もあるが、すぐに雪崩が起きそうな雪質ではないとのこと。でも、行程短縮と、天候が思いのほか良かったことから、別山尾根を下山することとする。

 

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前剱からの急斜面は慎重にバックステップで降りるものの、全然スピードが上がらない。と、下を見ると、リーダーがあっという間にかなり下にいる。早いなぁと思っていたら、ヒヤリハットだったらしい…。無事に止まってくれてよかった。

一服剱の手前で定時交信。ここから徐々に風が強くなり、雪つぶての洗礼。小屋が見えて、下り始めたところで、更なる強風。ちょっと歩いて耐風姿勢。ちっとも進まない。

16:00 剱山荘着。A久さんが迎えに来てくれていた。

17:00 テン場に着くとみんなが、温かく迎えてくれる。遅く着く私達のために、強風の中整地をして、雪壁まで作ってくれていた。テントを張ったところで更にひと騒動。荷物を入れる直前のテントが、強風で空高く舞い上がってしまった。皆がテントを追いかけてくれる中、当事者の我々は呆然。上空は風が渦を巻いていたらしく、戻ってきたテントを、S原さんがタックル無事捕獲。破損のためフライのない、難民キャンプのような状態のテントで長い一日が終わった。

 

5/6(日) 曇り(強風)

C3 4:45 剱沢-剱御前-雷鳥沢-8:00 室堂下山

 

2:30起床。フライのないテントで過ごしたメンバーは寒さが身にしみる中での起床となった。早々に支度を行い他のパーティの様子を伺う。

4:30 出発:出発のころ雷が頭上に聞こえる。早々に剱沢を離れるが、風がかなり強い。時折耐風姿勢をとりながら剱御前小屋に到着ししばし休憩。

雷鳥沢では悩まされてきた風も収まり、滑落に気をつけながら慎重に下る。

7:30 雷鳥沢テント村:剱沢では我々で貸切であったが、雷鳥沢では多くのテントを見ることができた。

8:00 室堂下山。全員無事にターミナルに到着。緊張からの開放。そしてあっという間の剱が幕を閉じた。